【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.21】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23UT1188
利用課題名 / Title
カーボンナノチューブの光学物性解明
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
光リソグラフィ/ Photolithgraphy,ナノチューブ/ Nanotube
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
千足 昇平
所属名 / Affiliation
東京大学工学部機械工学科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
榊原海大
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
UT-505:レーザー直接描画装置 DWL66+2018
UT-800:クリーンドラフト潤沢超純水付
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は化学的に安定で強度が高く,電気伝導性・熱伝導性に優れているため,電気デバイスなどへの応用が期待されている.またSWCNTは様々な光学特性をもっていることが知られている.SWCNTの孤立架橋構造は,基板の影響を無視できることからデバイス応用などの観点から見ても優れた系であり,光学分析にも適した系となっている.架橋SWCNT構造の作製のため,様々な手法が検討されてきたが,CNTの長さや太さの制限,不純物の付着,成功率の低さなどが課題となっている.その中でも,転写を用いた手法では,適切なCNTサンプルを合成することでCNTの長さや太さの制限を回避することができるメリットがある.しかし,転写材の残留物による影響や,バンドル(複数のCNTが束になっている構造)化が起こりやすいといった課題がある.
本研究課題では,転写手法を用いて不純物が少ない架橋SWCNT構造を作製し,得られた架橋SWCNTに対して光学分析を行うことを目的とする.
実験 / Experimental
架橋SWCNT構造のため,スリット付きのシリコン基板を作製した.架橋SWCNTの光学分析にはテーパー構造のあるスリットが適している.そのため,両面にSiO2層を形成した酸化膜付シリコン基板に対し,レーザーリソグラフィを用いてパターニングを行い,異方性エッチングによってテーパー付きスリットを作製した.その後,シクロドデカン(CDD)を用いた転写手法でスリット上に架橋SWCNT構造を作製した.CDDは室温で昇華性をもち,他の転写材と比べて残留物が少ないというメリットがある.
結果と考察 / Results and Discussion
KOHを用いた異方性エッチングによって,テーパー付きのスリット構造の作製に成功した.また,温度でエッチング速度を制御することによって,シリコン基板の酸化膜厚みを制御できる可能性が示唆された.CDDを用いた転写手法により,架橋SWCNT構造の作製に成功した.ラマン散乱分光計測によって架橋部のシグナルが強くなっていることを確認し,CDD残留物由来のスペクトルが検出されないことが判明した.CDD転写を用いて作製した架橋SWCNT構造のSEM像を図1に,ラマンスペクトルを図2に示す.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 CDD転写による架橋SWCNT構造のSEM像
図2 CDD転写による架橋SWCNT構造のラマンスペクトル
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- *R. Kaneda, K. Kozaki, S. Sato, K. Sakakibara, K. Otsuka, S. Maruyama, S. Chiashi, (P145) "Sealing of single-walled carbon nanotubes encapsulating water molecules," The 23rd International Conference on the Science and Applications of Nanotubes and Low-Dimensional Materials (NT23) (Arcachon near Bordeaux, France), poster, 2023.06.08
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件