利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.21】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UT1173

利用課題名 / Title

金アシスト劈開法による2次元結晶の作製

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

ナノシート,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,ダイシング/ Dicing,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,原子層薄膜/ Atomic layer thin film,ナノシート/ Nanosheet


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

石坂 香子

所属名 / Affiliation

東京大学大学院工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター・物理工学専攻

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

坂野昌人,赤塚俊輔

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

水島彩子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-505:レーザー直接描画装置 DWL66+2018
UT-900:ステルスダイサー
UT-600:汎用ICPエッチング装置
UT-700:4インチ高真空EB蒸着装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

グラファイトや遷移金属ダイカルコゲナイドに代表されるような層状物質は、その層数が1層になるとバルク結晶では発現しない特異な物性が発現することが知られている。そういった単層物質の物性研究は、グラファイトの単原子層物質であるグラフェンの簡便な作製方法として開発された、スコッチテープを用いた剥離法と有機ポリマーを用いたドライ転写技術の発展によって精力的に行われるようになった。しかしながら、広く用いられているSiO2基板上に単層を得る転写手法では、単層物質が得られる層状物質の数に限りがあることが研究進展のボトルネックとなっていた。また、平坦な金基板の上にはSiO2基板上への転写では得られない単層の遷移金属ダイカルコゲナイド試料を作製可能であることが報告されているが[S. B. Desai et al., Adv. Mater. 28, 4053 (2016).]、金基板上の単層物質をSiO2のような汎用的な基板に転写することは困難であるという課題があった。そのような背景のもと、本研究では穴の空いた金基板を作製し、穴の上にフリースタンディングな二次元結晶を作製することを目的として研究を行った。フリースタンディングな二次元結晶が得られれば、従来の転写技術を流用することができるため、新たな単層物質やそれらの複雑積層構造における未開拓物性の研究が可能となる。

実験 / Experimental

直径1~5 μmの穴が開いた金基板を作製し、その穴の上に、既に先行研究[Y. Huang et al., Nat. Commun 11, 2453 (2020).]で実績がある単層WSe2を得るための研究を行った。穴あき金基板は、SiO2(100 nm)/Si基板に対してレジスト塗布、露光、現像、エッチングを行って凹凸のある基板を作製したのち、Ti原子を2 nm、Au原子を5~50 nm蒸着して作製した(図1)。大気中でバルクWSe2をテープによって剥離・転写した後、最後に基板上および穴の上に単層WSe2が作製されているかどうかを、原子間力顕微鏡およびデジタルマイクロスコープによって観察した。

結果と考察 / Results and Discussion

今回の実験では、穴あき金基板の上に単層WSe2が作製されたことを確認することができなかった。今回は酸化膜の厚さが100 nmのSiO2/Si基板を用いて実験を行ったが、デジタルマイクロスコープによる単層試料の観測のためには290 nm程度の厚さが適しているため、次回はそのような基板を用いて実験を行う必要がある。原子間力顕微鏡によっても単層WSe2の存在は確認されなかった。今後、穴の直径や形状、金基板を大気露出する時間の短さ、SiO2の穴の深さなどを変化させて、フリースタンディングな単層WSe2が作製可能な実験条件の精査を行う。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 SiO2(100 nm)/Si基板上に作製した穴あき金基板(左)とその拡大図(右)。穴径は5μmである。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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