利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.03】【最終更新日:2023.08.03】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NR0042

利用課題名 / Title

鯉の餌に含まれる化学物質の精密質量測定

利用した実施機関 / Support Institute

奈良先端科学技術大学院大学 / NAIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials

キーワード / Keywords

DART質量分析、スクミリンゴガイ誘引物質,質量分析/Mass spectrometry,質量分析/Mass spectrometry


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

竹内 孝江

所属名 / Affiliation

大阪大学 大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NR-504:LC/TOFMS高分解能飛行時間型質量分析装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

稲の出穂直後の幼苗を食害することから、スクミリンゴガイの防除技術の開発が急務の課題である。その中でも薬剤に対する抵抗性を誘導しない誘引剤の開発は有望である。より誘引性の高い餌を開発するためには、誘引物質の特定が必要である。本研究では、DART(Direct Analysis in Real Time)イオン化高分解能質量分析法によってスクミリンゴガイ誘引性をもつ餌に含まれる分子の精密質量および元素組成を求めた。

実験 / Experimental

 スクミリンゴガイの誘引餌の候補である米ぬか、米麹および鯉の餌の成分物質をメタノール、ヘキサン、酢酸エチルおよび水等で抽出したものをDART用試料カードに付着させ、DARTイオン化ユニットにかざすことによりDARTイオン化質量スペクトルを得た。その測定にはJEOL AccuTOF LC-plus-4Gを用いた。得られたマススペクトルの精密質量からその元素組成式を推定した。元素組成式等から予想される成分物質については、同じ条件で測定した標準物質のDARTイオン化質量スペクトルと、米ぬか、米麹および鯉の餌のスペクトルを比較することによって成分物質の分子の候補を推定した。

結果と考察 / Results and Discussion

スクミリンゴガイの誘引餌の候補である米ぬか、米麹および鯉の餌のメタノール、ヘキサン、酢酸エチルおよび水による抽出液のLC/MSおよびGC/MS分析した結果、合計31種類の成分物質を同定できた。 例えば米ぬかでは、脂肪酸としてpalmitic acid、α-linolenic acid、linolic acid、oleic acid、およびstearic acid、γ-オリザノールとしてcampesteryl ferulate、および β-sitosteryl ferulate、ステロール類としてcampesterolと β-sitosterol、ビタミン類としてα-tocopherolが検出された。また、米ぬかのヘキサン抽出物の負イオンモードのDARTマススペクトルでは、m/z 279.7240と281.2505に、それぞれlinolic acidとoleic acidの脱プロトン化分子[M-H]-由来の大きなシグナルが検出された。また、m/z 559.4649、561.4904および563.4939のピークは、それぞれlinolic acidの二量体(C18H32O2)2、linolic acidとoleic acidの会合体[C18H32O2+C18H34O2]、およびoleic acidの二量体(C18H34O2)2から脱プロトン化した負イオンであった。これらより米ぬかにはlinolic acidおよびoleic acidが含まれていることが確認できた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・イノベーション創出強化研究推進事業(農研機構)「スクミリンゴガイの被害撲滅に向けた総合的管理技術の革新および防除支援システムの開発」
・スクミリンゴガイの誘引餌候補選定にあたって、遊佐陽一教授(奈良女子大学)に感謝します。
DART MS測定にあたってNR-504(LC/TOFMS高分解能飛行時間型質量分析装置)の利用を支援下さったARIMおよび西川技術専門職員に感謝します。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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