利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.25】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NM5444

利用課題名 / Title

NMRによる単結晶リチウムイオン伝導体の拡散機構の研究

利用した実施機関 / Support Institute

物質・材料研究機構 / NIMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

核磁気共鳴/ Nuclear magnetic resonance,全固体電池/ All-solid battery


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

桑田 直明

所属名 / Affiliation

物質・材料研究機構

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

長谷川源

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

端 健二郎

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NM-101:500MHz固体汎用NMRシステム
NM-102:500MHz固体高分解能NMRシステム


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

酸化物型の全固体電池を実現するため、固体電解質における高速リチウム拡散の機構を解明することが求められている。Aサイト欠陥ペロブスカイト構造を有する固体電解質は、Aサイトに導入されたLiと空孔がイオン伝導を実現する。Li0.08La0.310.61NbO3 (LLNbO)は、多くの空孔(□)が導入され、高速拡散経路の形成が期待される。本研究ではLLNbOのバルク単結晶を用いて、高温でのパルス磁場勾配(PFG)NMR法と高周波インピーダンス法を組み合わせることにより、バルク拡散係数およびその異方性を明らかにすることを目的とした。

実験 / Experimental

単結晶LLNbOは[100]または[001]方向に3×3×5 mmの直方体として切り出した。高温PFG-NMR測定はECA-500 (JEOL)と高温拡散特殊プローブを用いて行った。7Liの共鳴周波数は194 MHzである。

結果と考察 / Results and Discussion

高温PFG-NMRにより求めた拡散係数(DNMR)および、高周波インピーダンス測定からNernst-Einstein式を介して求めた伝導度拡散係数(Dσ)は広い温度範囲でよく一致することが分かった。LLNbOのDNMRは[100]方向に対して1.2 × 10−12 m2s−1(293 K)である。このことから、LLNbOの構造が高速拡散に適していることが初めて明らかとなった。一方で、イオン伝導度が低い理由は主にキャリア数である。DNMRDσの比であるHaven比は1である。Li+イオン同士の相関効果がなく、独立して拡散していることを示す。拡散係数は異方性を示し、[100]/[001]は約3倍異なる。一方、活性化エネルギーは0.32–0.33 eVであり、異方性がないことが分かった。これらの実験結果から、拡散機構について考察することができた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1. PFG-NMRによる固体電解質LLTOの拡散係数測定の結果(DOI: 3815-3824 10.1021/acs.chemmater.2c03340)


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

DOI(論文・プロシーディング):10.1021/acs.chemmater.2c03340


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 桑田 直明, 長谷川 源, 端 健二郎, 藤原靖幸, 射場英紀. ペロブスカイト型単結晶LixLa(1-x)/3NbO3の高温イオンダイナミクス計測. 第49回固体イオニクス討論会. 2023
  2. 桑田 直明, 長谷川 源, 端 健二郎, 藤原靖幸, 射場英紀. 高温PFG-NMRによるニオブ酸ランタンリチウム単結晶の 拡散係数測定. 日本物理学会 第78回年次大会. 2023
  3. 桑田 直明. 単結晶ニオブ酸ランタンリチウム固体電解質におけるリチウム拡散. 第24回超イオン導電体物性研究会(第84回固体イオニクス研究会). 2023
  4. 今泉優輝, 平田佳佑, 桑田 直明, 端 健二郎, 長谷川 源, 松尾康光, 松井広志. K3H(SeO4)2のプロトン移動と局所構造. 日本物理学会 第78回年次大会. 2023
  5. 今泉 優輝, 平田 圭佑, 長谷川 佑介, 桑田 直明, 端 健二郎, 長谷川 源, 松尾 康光, 松井 広志. 1H-NMRによる K3H(SeO4)2の プロトン 運動 と 局所構造 の 研究. 第24回超イオン導電体物性研究会(第84回固体イオニクス研究会). 2023
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る