利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.03】【最終更新日:2023.05.19】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NR0041

利用課題名 / Title

新規ベンゾチエノベンゾチオフェン誘導体の開発と電気化学発光材料への応用

利用した実施機関 / Support Institute

奈良先端科学技術大学院大学 / NAIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

有機エレクトロニクス, 発電関連材料,質量分析/Mass spectrometry


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

田原 圭志朗

所属名 / Affiliation

香川大学 創造工学部 先端材料科学領域

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

西川嘉子,山垣美恵子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NR-504:LC/TOFMS高分解能飛行時間型質量分析装置
NR-505:マトリックス支援レーザーイオン化飛行時間型質量分析計


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

電気化学発光(Electrochemiluminescence、ECL)は、電極表面での電気化学反応を利用する発光の一種である。貴金属フリーの有機ECL材料のボトルネックとして、電気化学的に生成させた中間体の安定性が低く、分解反応が進行し易いという問題があった。本研究では、有機ECL材料の安定性を向上させ、ECL強度を増大させる超分子的手法を開発することを目的としている。具体的には、ドナー・アクセプター型の蛍光色素のラジカルカチオン/アニオンの安定性の向上を検討した。

実験 / Experimental

ドナー部位をベンゾチエノベンゾチオフェン、アクセプター部位をピリジンとする新規有機色素を合成した。ピリジン部位型はルイス塩基としても働き、嵩高いルイス酸として汎用されるトリスペンタフルオロフェニルボラン(TPFB)と複合化させた。複合体を単離し、NMR、MALDI-TOF-MS、ESI-TOF-MSで同定した。また、ドナー部位をクマリン510とする市販の蛍光色素もTPFBと複合化させた。蛍光色素と複合体を比較し、電気化学発光の強度に及ぼす複合体の効果を評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

本研究で新規に合成した蛍光色素および複合体について、NMRに加え、MALDI-TOF-MS、ESI-TOF-MSの高分解能分析で同定することができた。TPFB(ルイス酸)と蛍光色素(ルイス塩基)を溶液中で混ぜるだけで、ルイス対を形成できることが確認できた。このルイス対形成を利用することで、蛍光色素のシリーズのECL強度を最大で156倍にまで向上させることに成功した。嵩高いTPFBは、ラジカルカチオンおよびラジカルアニオンの二量化を効率的に防ぐことを電気化学測定で明らかにした。すなわち、本研究で有機物の蛍光色素に分子レベルで防護具(プロテクター)を装着させる電気化学的な手法を確立できた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

Angew. Chem. Int. Ed.にオンライン掲載された論文がHot Paperに選出された。また、同誌内で高い評価を得て、Front Coverに掲載される予定である。本研究の一部は、文部科学省マテリアル先端リサーチインフラ事業の支援により、奈良先端科学技術大学院大学で実施された。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Takashi Ikeda, Lewis‐Pairing‐Induced Electrochemiluminescence Enhancement from Electron Donor‐Acceptor Diads Decorated with Tris(pentafluorophenyl)borane as an Electrochemical Protector, Angewandte Chemie International Edition, 62, (2023).
    DOI: doi.org/10.1002/anie.202301109
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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