利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.19】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NM5226

利用課題名 / Title

高機能光学セラミックス創製と特性評価

利用した実施機関 / Support Institute

物質・材料研究機構 / NIMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

資源代替技術/ Resource alternative technology,易循環型材料設計技術/ Recycling-friendly material design technology


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

中根 茂行

所属名 / Affiliation

物質・材料研究機構

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),機器利用/Equipment Utilization


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NM-503:200kV電界放出形透過電子顕微鏡(JEM-2100F1)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

ZnAl2O4は、資源リスクや環境負荷の懸念が低いユビキタス元素のみで構成される物質でありながら、応用研究を議論できるレベルで多彩な機能を発現する化合物である。結晶学的に見ると、等方性の高いスピネル構造であり、γ-Al2O3中にZnOを組み込んだような構造をとる。そのため、機能的にも両者に期待される用途で同等の性能を発現することが多い。化学的に見るとγ-Al2O3より合成が容易で、ZnOより耐久性が強く安定である。電子構造的には3.8eV程度の直接遷移型のワイドバンドギャップを半導体であり、γ-Al2O3やZnOのような表面活性が期待できることから、紫外光源や蛍光体母相としての光学応用や触媒やセンサーなどの化学応用の研究が行われている。我々はこのZnAl2O4を、持続可能社会に適合する次世代材料として注目し、その期待される用途の多くが低コスト化を要することから、粉体の大量合成や薄膜の大面積化に資する化学合成技術を開発する研究を行ってきた。その結果、従来技術では困難だった、ボトムアップ式のナノ粒子合成を汎用的な水熱法で実現する技術の開発に成功した。そこで、合成した粒子の形態的な特徴を議論するため、本研究施設の透過型電子顕微鏡を活用した。

実験 / Experimental

合成したZnAl2O4ナノ粒子をマイクログリッド上に分散させて透過型電子顕微鏡に設置し、200kVの加速電圧で直接的な粒子観察を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

合成した粒子は、非常に凝集した状態で観察され、一見すると多結晶粒のように見受けられたが、格子縞が確認できるレベルの高倍率で確認したところ、5nm程度の四角いシングルナノサイズの粒子が凝集した状態にあることが判った。高い凝集状態は、ナノ粒子に配位する有機修飾子の分子鎖が短く、マイクログリッド上に配置する時の濃度では十分に分散させることができなかったためであると考えられる。シングルナノのナノ粒子が合成できていたことに関しては、溶液から直接的に結晶を生成させた本合成手法に期待される結果と矛盾しない良好な結果であり、構築した合成技術の有効性を示唆する結果であると考えている。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


観察したナノ粒子の低倍率像



観察したナノ粒子の高倍率像


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本成果はJSPS科研費16K13999の助成を受けておこなわれた実験結果に基づいて行われた研究によって得られました。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Takayuki Nakane, Direct bottom-up synthesis of ZnAl2O4 nanoparticle via organic ligand dissolution method, Journal of Materials Science, 58, 13269-13278(2023).
    DOI: 10.1007/s10853-023-08866-w
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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