利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.09.19】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NM5185

利用課題名 / Title

ナノレベルで構造制御された有機薄膜の作製とそれを用いたデバイスの作製・評価

利用した実施機関 / Support Institute

物質・材料研究機構 / NIMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

エレクトロデバイス/ Electronic device,クロマトグラフ/ Chromatograph


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

坂本 謙二

所属名 / Affiliation

物質・材料研究機構

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

服部晋也

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NM-019:ゲル浸透クロマトグラフィー装置群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

有機デバイスは、大面積、軽量、フレキシブル、低コストといった特徴をもつ。有機分子の電子・光物性は異方的であるから、有機薄膜としての特性は構成分子の配向や結晶性によって決定される。高性能・高機能有機デバイスを実現するためには、ナノレベルで構造制御して有機薄膜を作製する技術の開発が重要である。本利用課題では、ナノレベルで構造制御して有機薄膜を作製する技術を確立し、デバイス特性の向上を目指す。本年度は活性層の分子配向を制御して作製した高分子有機電界効果トランジスタ(OFETs)の初期特性と動作安定性を評価した。また、合成した液晶性ドナー-アクセプター(D-A)共重合体の分子量分布の評価を行った。

実験 / Experimental

酸化膜付きSi基板表面にナノグルーブ構造を形成し、それを配向誘起層として用いることによって有機半導体高分子の主鎖方向が一方向に配向した活性層を有するOFETsを作製した。平滑な酸化膜付きSi基板上に等方的な活性層をもつOFETsも作製した。有機半導体高分子としてPBTTT-C16とPCDTPTを用いた。これらのOFETsの初期特性とバイアスストレス(BS)特性を測定した。また、並行して液晶性D-A共重合体の合成を行った。液晶性の発現には分子量の制御が重要である。合成した高分子の分子量分布をGPCで評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

PBTTT-OFETsとPCDTPT-OFETs共に、分子配向効果による電界効果移動度の増強が確認された。同じ配向状態(チャネル電流方向に対して主鎖の配向が平行、垂直、等方)の活性層をもつOFETsで比較すると、移動度はPCDTPT-OFETsの方が高いが、動作安定性はPBTTT-OFETsの方が高いことがわかった。移動度が高い活性層では効率的な伝導パスが存在するはずであるから、移動度と動作安定性の間には正の相関があることが期待された。しかしながら、材料が異なる場合には正の相関がないことがわかった。動作安定性の違いの起源を知るため、界面トラップ状態密度(DOS)解析を行った。その結果、PBTTT-OFETsとPCDTPT-OFETsの動作安定性の差は、BSによる界面トラップDOSの変化によるものではなく、フラットバンド電圧の変化量の差であることがわかった。並行して行っている液晶性D-A共重合体の合成に関しては、分子量分布が広めであったが液晶性を示す材料が得られた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究の一部はJSPS科研費 20K05310の支援を受けて行われた。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Kenji Sakamoto, Origin of Intrinsic Operational Instability in Organic Field‐Effect Transistors with Aligned High‐Mobility Donor–Acceptor Copolymer Active Layers, Advanced Materials Technologies, 9, (2023).
    DOI: 10.1002/admt.202301503
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 坂本謙二,ブルガレビッチ・キリル,安田剛,三成剛生,竹内正之,"真空環境下における高分子有機電界効果トランジスタの動作不安定性の起源",第71回応用物理学会春季学術講演会(東京),令和6年3月24日.
  2. 坂本謙二,ブルガレビッチ・キリル,安田剛,三成剛生,竹内正之,"高分子有機電界効果トランジスタの動作安定性と活性層の液晶性との関係",2024年日本液晶学会討論会(富山),令和6年9月11日.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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