利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.10】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NM5141

利用課題名 / Title

動的なπ共役分子および分子集合体の構築と特性評価に関する研究

利用した実施機関 / Support Institute

物質・材料研究機構 / NIMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

π電子系分子性材料,核磁気共鳴/ Nuclear magnetic resonance


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

竹内 正之

所属名 / Affiliation

物質・材料研究機構

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

中西 和嘉,高井 淳朗,HOLSTEIN Lara Rae,ZHONG XinHao,JIN Zhehui,佐藤 瑠星,鷲田 いつか,佐藤 直子,松永 いづみ

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

竹村太郎,服部晋也

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NM-001:NMR
NM-016:接触角計
NM-005:液中原子間力顕微鏡


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

π共役分子を基盤とするπ電子系分子性材料は、分子固有の優れた光・電子機能に加え、自己修復性や光・電子物性スイッチングなど動的機能も発現し得る。そのため、π電子系分子性材料は従来型のポリマーやバルク材料を補完する新たなソフトマテリアルとして注目されている。そこで本課題では、動的機能性を組み込んだ新たなπ電子系分子性材料の合成、緻密な配列制御法の開発、機能の評価を目的として研究を遂行した。合成したπ電子系分子性材料の同定・機能の評価に際し、ARIM登録装置を利用した(詳細は、実験欄を参照)。その結果、いくつかの新奇なπ電子系分子性材料が興味深い反応性、自己集合能、動的な光・電子機能を有することが明らかになった。

実験 / Experimental

合成したπ電子系分子性材料の同定、異性体の有無の確認、立体配座の推定、自己集合能の有無の確認などを行うため、NMR(NM-001)を利用した。実験では、重水素化した水や有機溶媒中に化合物を溶解したサンプルを準備し、主に1H NMRおよび13C NMRを測定した。溶媒・化合物の濃度・測定温度などを変化させることで、分子構造や立体配座に関する様々な情報が得られた。また、π電子系分子が自己集合した超分子ポリマーの形態を精査するため、原子間力顕微鏡(NM-005)も利用した。化合物を薄膜化した際の界面物性について探索するため、接触角計(NM-016)も利用した。

結果と考察 / Results and Discussion

ARIM登録装置等を利用し新奇なπ電子系分子性材料を精査した結果、ユニークな構造や光・電子機能を示すことがわかった。例えば、ペリレンジイミドとコーティング剤や仕事関数調整剤として注目されているポリエチレンイミンとの無触媒amino-yneクリック反応により、ペリレンジイミドで架橋されたポリマーがワンステップで得られた。このポリマーは、固体状態においても近赤外吸収および蛍光を示し、架橋密度によって融点も変調できることがわかった。また、電子ドナー・アクセプター型π電子系分子の金(111)基板上における特異な自己集合挙動についても明らかにした。未発表の化合物データも含め、π電子系分子性材料の興味深い動的機能を見いだすことができた。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

利用に際し、装置の維持管理や測定補助で竹村 太郎博士、服部 晋也博士ほか、材料創製・評価プラットフォーム バイオ分析ユニットの皆様に大変お世話になりました。この場をお借りして、御礼申し上げます。
DOI(論文・プロシーディング):(1)10.1039/d3cc00886j、(2)10.1002/chem.202301019、(3)10.1039/D2CP05982G


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 高井 淳朗, “π電子系分子アクティブマターの系統的探索” 第33回非線形反応と協同現象研究会(東京), 2023年12月
  2. TAKAI Atsuro, TAN Minghan, "Spatiotemporal Dynamics of Supramolecular Polymers of Naphthalenediimides Triggered by a Click Reaction" The 13th SPSJ International Polymer Conference (Sapporo), 2023年7月
  3. NAKANISHI Waka, MATSUSHITA Yoshitaka, TAKEUCHI Masayuki, SAGISAKA Keisuke, "Dipole-moment-induced supramolecular assembly on a metal surface and in a crystal." 2023年日本表面真空学会学術講演会(名古屋), 2023年10月
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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