【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.24】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NM5069
利用課題名 / Title
金属材料の加工熱処理実験の素材準備
利用した実施機関 / Support Institute
物質・材料研究機構 / NIMS
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
X線回折/ X-ray diffraction,高度素材識別技術/ Advanced material identification technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
上路 林太郎
所属名 / Affiliation
物質・材料研究機構
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
廣戸 孝信
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
伸線パーライト鋼は2GPa以上の優れた室温引張強さを有する高強度材料であり、かつ水素脆性などに起因する経年劣化に対する耐久性にも優れている。こうした耐久性の原因として、材料内部の不均一な応力分布が原因であると予想されるが、その詳細はまだ明らかになっていない。また、回折を利用した内部応力分布の測定では、回折ベクトルの機械座標系における方向を種々変化させた計測が必要になることに加えて、組織形態や集合組織などの影響を考える際に種々の仮定を設定しなければならず、系統的なデータを得ることが難しい。本測定では、弾性異方性に着目し、特定の一方向の垂直弾性ひずみの測定が可能であるか検証した。
実験 / Experimental
パーライト組織を有する中炭素鋼多結晶体に対して、冷間加工を施しパーライトラメラが特定方向に偏向した組織を有する試料を測定対象とした。冷間加工方向が回折ベクトルと平行、またはある一定角度となるように光学系を設定し、フェライトに起因する種々の回折角における回折強度を測定した。回折角より対応する指数hklが示す面間隔が冷間加工方向を法線方向と平行になっていることをに着目し、材料内部に単軸残留応力で近似できる状態が形成されると考え、面間隔と[hkl]に平行な単結晶有効ヤング率の関係を評価し、残留応力の計測を試みた。
結果と考察 / Results and Discussion
フェライトの110,200,211,220,310、222の回折角より面間隔を求めて得られた格子ひずみと単結晶有効ヤング率の逆数の相関はおおむね直線で近似できた。このことは回折ベクトルの機械座標系における方向において単軸応力状態が存在することを示唆している。得られた相関より残留応力を測定したところ、フェライトにおける冷間加工方向とそれに垂直な方向を比較すると垂直圧縮残留が存在し、その差は数倍程度と大きいものであることが明らかとなった。これはフェライトはセメンタイトよりも降伏応力が低く、塑性変形により比較的大きな塑性ひずみが導入される結果、除荷時に圧縮応力が残存したことを示唆している。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- R.Ueji, H.Somekawa, S.Emura, A.Shibata, 'Yield stress anisotropy of carbon steel with elongated pearlite', 2024 TMS annual meeting (2024/3/6)
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件