【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.04】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23AT5047
利用課題名 / Title
パルス磁場勾配核磁気共鳴法によるフッ化物系深共晶溶媒中のF-輸送特性解析
利用した実施機関 / Support Institute
産業技術総合研究所 / AIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion
キーワード / Keywords
二次電池/ Secondary battery,スピン制御/ Spin control,核磁気共鳴/ Nuclear magnetic resonance,核磁気共鳴/ Nuclear magnetic resonance
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
山本 大樹
所属名 / Affiliation
産業技術総合研究所 電池技術研究部門
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
服部峰之,大沼恵美子
利用形態 / Support Type
(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
その高いフッ化物イオン濃度から二次電池等の応用が期待されるフッ化物系深共晶溶媒(F-DES)について、パルス磁場勾配核磁気共鳴法(PFG-NMR)を用いてフッ化物イオンの伝導度の評価を行う。
実験 / Experimental
F-DESの合成は、テトラメチルアンモニウムフルオリド([TMA]F)と、1,3-ジメチル尿素(1,3-DMU)、1,3-ジメチルチオ尿素(1,3-DMTU)、またはエチレングリコール(EG)をアルゴンまたは乾燥空気雰囲気で混合して、必要に応じて40-60℃のホットプレートで加熱しながら攪拌することで行った。4種類のF-DES([TMA]F 3.5[1,3-DMU], [TMA]F 3.5[1,3-DMTU], [TMA]F 6.0[1,3-DMTU], [TMA]F 3.5[EG])について、乾燥空気内でPFG-NMR測定容器に充填し、1Hと19Fの核種についてPFG-NMR測定により、25℃におけるTMA+、F−、と水素結合供与体(1,3-DMU、1,3-DMTU、またはEG)の拡散係数を測定した。
結果と考察 / Results and Discussion
[TMA]F 3.5[1,3-DMTU]と[TMA]F 6.0[1,3-DMTU]については、非常に高い粘性から、スピンースピン緩和時間が短く、拡散係数を算出することができなかった。25℃における[TMA]F 3.5[1,3-DMU]と[TMA]F 3.5[EG]について、TMA+、F−、1,3-DMU、EGの拡散係数(それぞれ、DTMA、DF、D13DMU、DEG)、F−の輸率(tF)は、それぞれ以下のようになった。 ・[TMA]F 3.5[1,3-DMU]: DTMA = 2.6×10−11 m2∙s−1, DF = 5.5×10−11 m2∙s−1, D13DMU = 4.7×10−11 m2∙s−1, tF = 0.68 ・[TMA]F 3.5[EG]: DTMA = 5.2×10−11 m2∙s−1, DF = 6.0×10−11 m2∙s−1, DEG = 4.1×10−11 m2∙s−1, tF = 0.54どちらのF-DESにおいても、F−の方がTMA+よりも拡散係数が高く、アミド系水素結合供与体を用いた[TMA]F 3.5[1,3-DMU]は、アルコール系水素結合供与体を用いた[TMA]F 3.5[EG]と同等のF−の拡散係数を示すことがわかった。 交流インピーダンス法から求めた25℃におけるイオン伝導率は、[TMA]F 3.5[1,3-DMU]と[TMA]F 3.5[EG]でそれぞれ、4.2×10−1 mS∙cm−1と5.1 mS∙cm−1で、[TMA]F 3.5[EG]の方が一桁ほど大きいことが分かっている。これより、 [TMA]F 3.5[1,3-DMU]中では[TMA]F 3.5[EG]中よりも、F−は会合等でTMA+と相互作用した状態で存在・拡散していると考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Hiroki Yamamoto, Fluoride-Based Deep Eutectic Solvents with Amide Dual-Hydrogen-Bond Donors, The Journal of Physical Chemistry Letters, 15, 6249-6255(2024).
DOI: https://doi.org/10.1021/acs.jpclett.4c01085
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件