利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.21】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23AT5011

利用課題名 / Title

固体重水素NMRによる高分子中の分子ダイナミックス測定

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies

キーワード / Keywords

スピン制御/ Spin control,核磁気共鳴/ Nuclear magnetic resonance,核磁気共鳴/ Nuclear magnetic resonance,高度素材識別技術/ Advanced material identification technology


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

古屋 秀峰

所属名 / Affiliation

東京工業大学物質理工学院応用化学系

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

服部峰之,大沼恵美子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-505:固体NMR装置 (SSNMR)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

重水素化したポリプロピレンを用いて、延伸によって生じる配向結晶状態におけるポリプロピレン鎖のダイナミクスの温度依存性を調べ、未延伸試料と比較検討する。固体重水素NMR測定を行い、測定条件の調整と四極子分裂ピーク幅の温度依存性を解析した。

実験 / Experimental

ポリプロピレンの重水素化物は、メチン、メチレン、メチルの全ての水素を重水素化されている。使用するポリプロピレン試料の分子量は、 10 万~20 万程度の典型的なホモポリプロピレンである。重水素化ポリプロピレン試料をフィルム状に成形し、未延伸のフィルムと二軸延伸したフィルムを測定に用いた。固体重水素NMR測定は、Bruker社製Avance 200WBを用いて広幅測定により温度範囲300~433Kで行った。

結果と考察 / Results and Discussion

図1に、二軸延伸フィルムに関する測定結果を示した。赤線は、1回目測定の結果、青線は1回目測定した試料を再度溶融して延伸した試料の測定結果である。300Kのスペクトルでは、メチル、メチレン、およびメチン基に相当する四極子分裂ピークがきれいに観測された。図1のスペクトルの温度依存性からは、非晶構造や等方的な運動に由来する中央ピークが温度上昇に伴い増加していることが分かる。各重水素に帰属される四極子分裂幅は、温度上昇による変化は小さく、ピーク強度が減少する様子が観測された。また、2回目の測定結果(青線)では測定条件を変えて分解能を高くしたが、高温測定(423K、433K)にのみノイズ除去され、他の温度では大きなスペクトルの向上は見られなかった。
 図2に、延伸(赤線)と未延伸(青線)の試料に関するスペクトルの温度依存性を示した。温度上昇に伴い中央ピーク強度が増加することが分かった。また、未延伸試料の方が延伸試料より中央ピーク強度が大きかった。図3に、メチル基(図3a)とメチレン基(図3b)の四極子分裂ピーク幅の温度依存性を示した。どちらの分裂幅も温度上昇に伴い少しだけ減少することが分かった。メチレン基の四極子分裂幅は、精度良く得られた。メチレン基の結果において、未延伸と延伸状態の比較から延伸した方が分裂幅は若干大きくなっていることが明らかになった。延伸した試料では、分子鎖の配向構造の維持や分子運動の抑制状態がスペクトルの僅かの違いとして観測されていることが示唆された。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 延伸試料のスペクトルの温度依存性



図2 延伸試料と未延伸試料のスペクトル



図3 延伸試料(青)と未延伸試料(赤)の四極子分裂幅の温度依存性:a メチル基、bメチレン基


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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