【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.01】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23HK0146
利用課題名 / Title
アンモニア合成窒化物電極の微細構造解析
利用した実施機関 / Support Institute
北海道大学 / Hokkaido Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions
キーワード / Keywords
燃料電池/ Fuel cell,電子顕微鏡/ Electronic microscope,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control,水素貯蔵/ Hydrogen storage
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
青木 芳尚
所属名 / Affiliation
北海道大学大学院工学研究院応用化学部門電子材料化学研究室
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
小松ルイ,山下由佳子
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
アンモニアの工業生産には化石燃料より生成したグレー水素が大量に使用されており,これによて排出されるCO2は、全世界の総排出量の1%に相当するといわれている.従って水を水素源としてN2を電気化学的に還元するアンモニア電解合成法が、次世代のグリーンアンモニア製造プロセスとして注目されている.プロトン固体電解セルによるN2-H2O共電解は,カソード側で純粋なNH3ガスを生成することができ,また水電解に対し水蒸気電解はエネルギー的利得があるため、合理的な電解合成法と期待される。しかしながら、固体電解質上での窒素還元に適したカソード材料は見出されておらず、既報のアンモニア生成効率は0.1%程度と非常に低い値であった.近年我々の研究室では,Ruを担持したVNx薄膜電極を用いたプロトン固体電解セルで,10%以上の非常に高いアンモニア生成効率を報告した[1][芳青1] .この電極では,VNxが H+またはH-イオンと電子の両極性拡散による水素透過能を有するため,Ru上で吸着乖離したN原子がVNxの窒素空孔に移動して水素化が進行すると考えられる.以上の機構に基づくと,貴金属Ru[芳青2] に代わり、N2吸着乖離に活性であり、且つ資源的に豊富なFeを触媒に用いても同様な効果が得られると予想される.本研究ではVNx緻密膜上にFe金属層を担持したモデル電極を用いてプロトン固体電解セルを作製し,そのアンモニア電解合成性能を調べた。
実験 / Experimental
BaZr0.4Ce0.4Y0.1Yb0.1O3-δ(BZCYYb4411)バルク電解質(厚み0.5mm)を固相反応焼結法によって作製した.V金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法により,電解質の片面にVNx薄膜(約0.5 mm)を蒸着し,さらにその上にFeまたはRu層(約50 nm)を成膜し,カソードとした.また,アノードにはPrBa0.5Sr0.5Co1.5Fe0.5O5+δ (PBSCF)ペーストを用いた.SEMおよびEPMAにより薄膜の厚みおよび組成を評価した.H2O-N2共電解試験では,カソードにはN2,またアノードには3%-H2O/Nを供給した.アンモニアおよび水素生成物の定量にはmass分析計(Ulvac Qulee-300)を用いた.
結果と考察 / Results and Discussion
600°Cにて-6 mA cm-2定電流電解を行い,その際のアンモニアおよび水素生成物を定量しファラデー効率を決定した.Ru担持VNxカソードの場合, NH3生成ファラデー効率が15%に達し,これは神谷らの報告値とも一致する[1].Fe担持VNxカソードの場合,NH3生成効率は4.0%となり,Ru担持カソードよりも小さな値となった.電解温度を550℃まで低下させると8.7%まで向上し,Fe担持カソードでも10%以上のアンモニア生成効率が達成できる可能性が示唆された.以上から,貴金属触媒を使用しないVNxカソードを用いたH2O-N2電解合成により,比較的高い効率でアンモニア合成ができると確認された.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:1件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件