利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.29】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23HK0091

利用課題名 / Title

微細加工技術を用いた光渦二色性を有する金属ナノ構造の開発

利用した実施機関 / Support Institute

北海道大学 / Hokkaido Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

スパッタリング/ Sputtering,リソグラフィ/ Lithography,電子線リソグラフィ/ EB lithography,電子顕微鏡/ Electronic microscope,フォトニクス/ Photonics,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control,ナノ粒子/ Nanoparticles,ナノワイヤー・ナノファイバー/ Nanowire/nanofiber,ナノシート/ Nanosheet


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

田中 嘉人

所属名 / Affiliation

北海道大学電子科学研究所光科学研究部門極微システム光操作研究分野

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

松尾保孝,石旭,佐々木仁,ピョーテンダーテン,遠堂敬史,大西広,平井直美,森有子,細井浩貴,中村圭佑,浮田桂子,小島俊哉,山﨑郁乃,福本愛

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

HK-404:超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡
HK-602:超高精度電子ビーム描画装置(125kV)
HK-607:EB蒸着装置
HK-609:ヘリコンスパッタリング装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

円偏光と光渦はそれぞれスピン、軌道角運動量を有するが、これはキラルな光である。これまでキラル物質の検出には、キラル物質が左右の円偏光に対して異なる光応答を示すという性質(円二色性)がしばしば用いられてきた。近年、光渦を用いて物質のキラリティを検出する試みが行われている。しかし、光渦がどのようにキラル物質と相互作用するのか明らかではない。そこで我々は、キラル物質が左右の光渦に対して異なる光応答を示すという性質(光渦二色性)を高精度で計測可能な手法を開発し、その手法を幾何構造の対称性が異なる様々な金属微細構造に対して適用することで、構造の対称性と光渦二色性の関係性を明らかにする。また、光と物質の相互作用に起因するスピン軌道角運動量変換の理論解析手法を開発し、角運動量のやりとりとキラル光学応答の関係性を明らかにする。

実験 / Experimental

光渦二色性を高精度で計測可能な手法を開発するために、左右の光渦を高速でスイッチング可能な光学系を構築した。光渦二色性を示す標準試料として、光渦発生にしばしば用いられる空間光変調器のらせんホログラムを用いた。また、電子線リソグラフィリフトオフ法により金属ナノ構造をガラス基板上に作製した。光と物質の相互作用に起因するスピン軌道角運動量変換の理論解析手法を開発するために、時間もしくは空間微分した電場と磁場の角運動量に着目し、保存則を導くとともに、そこからスピンと軌道の角運動量を分離してそれぞれの保存則を導出した。

結果と考察 / Results and Discussion

構築した左右の光渦の高速変調光学系からの入射光とらせんホログラムが相互作用した後の光をレンズで集光し、その集光面での光の強度分布を計測したところ、入射光のトポロジカルチャージ(TC、一波長あたりのらせんの巻き数)の絶対値とらせんホログラムのそれが一致する場合には、ガウスビームライクなビームの中心の最大の強度を持つ強度分布が得られた。また、二色性信号を計測したところ、らせんホログラムのTCが入射光のそれの絶対値と同じ時に最大値となっただけでなく、らせんホログラムのTCの符号を反転させると二色性信号の符号も反転した。これらの結果は理論計算の結果と整合しており、このことから構築した光学系で左右の光渦の高速変調が可能であることが実証された。この光学系を用いて金属ナノ構造の光渦二色性の計測を試みており、ナノ構造がキラルな場合とキラルでない場合で異なる二色性信号の分布が観測された。また、開発したスピン軌道角運動量変換の理論解析手法を円偏光照射した金ナノ球に対して適用し、球に働く全トルク(角運動量転写トルク)とスピン角運動量転写トルク、軌道角運動量転写トルクを評価したところ、円偏光のスピン軌道角運動量変換に起因するゼロでない軌道角運動量転写トルクを観測することに成功した。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 橋谷田俊、田中嘉人、高精度光渦二色性計測に向けた高速光渦変調(口頭)、日本光学会年次学術講演会Optics & Photonics Japan 2023、2023/11/29
  2. Shun Hashiyada, Yoshito Tanaka, Fast Modulation of Optical Vortices for Precise Measurements of Helical Dichroism, The 2023 RIES-CEFMS Joint International Symposium, 2023/12/8
  3. 橋谷田俊、田中嘉人、光トルクにおける光のスピン・軌道角運動量の寄与、2024年第71回応用物理学会春季学術講演会、2024/3/23
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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