利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.24】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23HK0083

利用課題名 / Title

ポリマー配線を用いたニューラルネットワーク型情報処理回路の創製

利用した実施機関 / Support Institute

北海道大学 / Hokkaido Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

エレクトロデバイス/ Electronic device,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control,CVD,スパッタリング/ Sputtering,リソグラフィ/ Lithography,光リソグラフィ/ Photolithgraphy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

赤井 恵

所属名 / Affiliation

大阪大学 大学院理学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

萩原成基(北大)

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

HK-606:マスクアライナ
HK-604:レーザー描画装置
HK-609:ヘリコンスパッタリング装置
HK-613:プラズマCVD装置
HK-611:多元スパッタ装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

脳内で無数の神経細胞が織りなす階層的な 3 次元近傍結合構造に学び,導電性ポリマー細線の複数電極間高次元配線を試みた.2 次元平面及び 3 次元立体空間上へ複数の電極を液中配置し,これらへ印加する重合電圧を制御することで所望の電極間へのみ選択的に細線を配線する技術を初めて確立した.これにより,情報処理に必要なネットワークを軸索誘導のごとく, 一からその場形成し得ることを示した.また,ネットワーク形成後の電極へ外部電圧を印加することでゲート効果による細線の導電性変化が誘起され,電圧スパイク印加に伴う側抑制的な抵抗変化やリザバー計算等に利用可能な非線形応答が観測された.これらの発見は,形成されたネットワークが生理学的にも妥当な情報処理能力を有していることを示唆している.

実験 / Experimental

2次元での任意配線を確認した後、我々は未踏の3次元配線に取り組んだ。3次元ではポリマー配線を実現する為の電界集中を実現する3次元端子が必要となる。そこで金属の三角コーン状のバンプを作製することで3次元ポリマー成長を制御可能にした。下部電極には二次元に配線された端子上に金の三角コーン状のバンプを配し、上部電極には先鋭化された金の探針を下部から約100μmの距離まで近づける。溶液中に配置された複数の立体電極間へ重合電圧を印加することで、導電性ポリマー細線が上部電極から下部電極へと複3次元的に成長していることが顕微鏡写真から初めて観察された。また、これらの配線の重みは電圧印加時間を制御することで、各電極間抵抗値を所望の値へと高精度で制御し得ることも示した。

結果と考察 / Results and Discussion

同一溶液間の一つのポリマー配線に短期記憶増強をもたらす電気刺激を与えると、他のポリマー配線の重みが極端に低下することも判った。これは脳内で見られる側抑制という、特定の感覚刺激に応答したニューロンが、ほかのニューロンの神経活動を制する現象に非常に似通っている。脳内ではこれにより個々のニューロンが特定の感覚刺激に対してのみ敏感に反応できるようになる。実際、ニューロン同士の相関関係を、生理学的な学習ルールとして知られるヘブ則に基づいて学習させることに成功し、ネットワークに連想記憶を与えられることが示された。結果はリンゴは赤く、バナナは黄色いといったような非常に単純なものではあるが、このような単純な学習も二次元の機械学習では得られなかったものである

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

Hagiwara N.,“Conductive polymer neural networks for neuromorphic wetware,” 2023 International Workshop on Neuromorphic Computing,Information Science and Tech-nology,Hokkaido University,Sapporo,Japan,Jan. 2023.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Naruki Hagiwara, Fabrication and Training of 3D Conductive Polymer Networks for Neuromorphic Wetware, Advanced Functional Materials, 33, (2023).
    DOI: https://doi.org/10.1002/adfm.202300903
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 萩原 成基,“導電性ポリマーネットワークがもたらす柔らかな脳型ウェットウェ ア ,” 第 258 回 JOEM 研究会,オンライン,2023 年 12 月.
  2. Akai-Kasaya M.,Hagiwara N.,Nakajima R.,and Watanabe S.,“Conductive polymer 3D networks and synaptic behavior trainings for neuromorphic wetware,” 3rd Workshop on Organic Neuromorphic Devices and Systems,Hotel Elbresidenz,Bad Schandau, Germany,Sep. 2023.
  3. Hagiwara N.,Asai T.,Ando K.,and Akai-Kasaya M.,“Growth of 3D Conductive Polymer Fiber Networks towards Neuromorphic Wetware,” 3rd Workshop on Organic Neuromorphic Devices and Systems,Hotel Elbresidenz,Bad Schandau,Germany, Sep. 2023.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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