利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.03】【最終更新日:2023.08.03】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NR0011

利用課題名 / Title

かご型シルセスキオキサンを基盤とした元素ブロック高分子材料の開発

利用した実施機関 / Support Institute

奈良先端科学技術大学院大学 / NAIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

質量分析/Mass spectrometry


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

中 建介

所属名 / Affiliation

京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科物質工学部門

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

河合 壯,西川嘉子,山垣美恵子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NR-501:マトリックス支援レーザーイオン化Spiral飛行時間型質量分析計


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

かご型シルセスキオキサン(POSS)の頂点が欠損した不完全POSS(CO-POSS)と呼ばれる分子を足場として、3本のポリメタクリル酸メチル鎖(PMMA)を同一方向に修飾した分岐ポリマーを合成した。末端変性PMMAおよびCO-POSSに修飾した分岐ポリマーについて、奈良先端科学技術大のMALDI-TOFMSによって分子量を計測して合成に成功したことを確認した。そして、得られた分岐ポリマーの物性について明らかにした。

実験 / Experimental

n-ブチルリチウム/ジフェニルエチレンを開始剤として、メタクリル酸(MMA)をアニオン重合した。反応を塩化アリルによって停止することで、末端にアリル基をもつPMMAを合成した。得られたPMMAの分子量は、奈良先端科学技術大のMALDI-TOFMS (NR-501)によって計測し、目的とする分子量のPMMAが得られたことを確認した。そして、ジメチルシリル基をもつCO-POSSに対して、アリル末端PMMAをヒドロシリル化によって結合した。得られた分岐ポリマーの分子量についても、奈良先端科学技術大のMALDI-TOFMS (NR-501)によって計測し、3本のPMMA鎖が導入されていることが確認された。比較対象として、同程度の分子量をもつ末端をCO-POSSで修飾した直鎖PMMAも合成し、奈良先端科学技術大のMALDI-TOFMS (NR-501)によって分子量を確認した。分岐ポリマーと直鎖ポリマーの熱物性(TGA・DSC)、光学特性(透過スペクトル)、力学特性(硬度試験)を比較した。

結果と考察 / Results and Discussion

アニオン重合によって、ピークトップ分子量2202および5904の末端変性PMMA(それぞれ1aおよび1b)を得た。三官能性CO-POSSおよび単官能性CO-POSS(それぞれ2aおよび2b)に対して、それぞれ1aを3本および1bを1本修飾し、ピークトップ分子量が6193および7081であった(それぞれ3aおよび3b)。構造及び合成スキームはFig.1に示す。分岐ポリマー3aは、直鎖ポリマー3bと比べて同程度の熱分解挙動をみせた一方で、分岐構造に起因して低いガラス転移温度を示した。また、3aから作製したフィルムは、3bよりも高い硬度を示した。CO-POSSに束縛された分岐ポリマーの自由度は低くなり、不均一なアモルファス構造によって硬度が上昇したものと考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 Synthesis of CO-POSS-terminated branched (3a) and linear (3b) PMMAs. Peak-top molecular weights (Mp) are shown.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究の一部は、文部科学省マテリアル先端リサーチインフラ事業の支援により、奈良先端科学技術大学院大学で実施された。ご対応いただいた、河合壮教授、清水洋氏、西川氏、山垣氏に感謝する。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 1.田中涼太, 五十嵐天人, 林泰平, 井本裕顕, 中 建介, “不完全かご型シルセスキオキサンを足場とする三叉型ポリメタクリル酸メチルの合成と特性” 第71回高分子年次大会(ポスター), 令和4年5月26日.
  2. 2.田中涼太, 五十嵐天人, 林泰平, 井本裕顕, 中 建介, “不完全かご型シルセスキオキサンを足場とする三叉型ポリメタクリル酸メチルの合成と物性評価” 第68回高分子研究発表会(神戸)(口頭), 令和4年7月15日.
  3. 3.田中涼太, 五十嵐天人, 林泰平, 井本裕顕, 中 建介, “不完全かご型シルセスキオキサンを足場とする三叉型ポリメタクリル酸メチルの合成と構造-物性相関”  第71回高分子討論会(ポスター), 令和4年9月5日.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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