【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.04】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23HK0061
利用課題名 / Title
複合セラミックス材料の力学特性と微細組織制御とその機能特性の関係
利用した実施機関 / Support Institute
北海道大学 / Hokkaido Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
MAX相セラミックス, 磁場配向技術, 結晶配向, EBSD,電子顕微鏡/ Electronic microscope,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control,イオンミリング/ Ion milling
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
森田 孝治
所属名 / Affiliation
物質・材料研究機構 電子・光機能材料研究センター 多結晶光学材料グループ
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
池田 賢一
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
本課題は、複合セラミックス材料の変形や破壊等の力学特性と内部組織の関係を明らかにしようとするものである。本年度は、一般式Mn+1AXn(M:遷移金属元素、A:Aグループ元素、X:CもしくはN、n = 1-3)で表されるMAX相セラミックスの一種であるTi2AlC配向焼結体の高温変形挙動に及ぼす結晶方位依存性について報告する。
本課題の一つのテーマとして、Ti2AlC(以下、TAC)を対象として、力学特性に及ぼす配向方位(結晶方位)依存性について検討している。多くのMAX相セラミックスでは、底面の法線方向と垂直方向に圧縮応力が負荷される際にキンク変形が生じることが知られている。これまで、当研究グループではTi3SiC2において高温変形挙動に及ぼす明瞭な結晶方位依存性が現れることを報告しているが、TACにおいても同様な挙動を示すのかは明らかにされていない。そこで本報告では、磁場中スリップキャストと放電プラズマ焼結(SPS)により作製した配向TAC焼結体の高温圧縮挙動に及ぼす結晶方位の依存性について調査した。
実験 / Experimental
本研究では、市販のTAC粉末(KANTHAL社製
MAXTHAL(211))を用いて分散剤とともにスラリーを作製した。超伝導マグネット内にスラリーを設置し、12
Tの磁場をスリップキャスト方向と平行な方向から印加しながら、スリップキャストを行った。得られた成形体は、SPSを用いて加圧焼結した。得られた焼結体は、スリップキャスト方向に結晶のc軸が配向することが確認できたので、その方向と圧縮方向のなす角度を0、45、および90°の角度となるように圧縮試験片を作製した。高温圧縮試験は、1100℃のAr雰囲気でひずみ速度3×10-4 s-1の条件で実施した。圧縮試験前後の組織評価としてアルキメデス法による気孔率測定、FE-SEM/BSE観察およびEBSD解析を実施した。
結果と考察 / Results and Discussion
各試料の1100℃における高温圧縮試験の結果、0.2%耐力は90°試料が最も大きな値を示したが、最大応力に到達した後、変形抵抗が低下する挙動を示した。また、圧縮試験前後の気孔率の増加分はいずれも3%以下であり、試験後の試験片表面に亀裂などは確認されなかった。試験後のFE-SEM/BSE観察やEBSD解析の結果、90°試料は変形に伴い、キンク帯が多く導入され、試験中にc軸配向度が低下していくことが明らかになった。したがって、90°試料では変形に伴いSchmid因子が変化することにより変形抵抗が低下したことが示唆された。この傾向は配向Ti3SiC2焼結体の傾向と一致した。したがって、Ti系MAX相セラミックスでは、高温圧縮挙動に上記のような結晶方位依存性を有することが明らかになった。また、90°試料では、層間剥離が伴わない緻密なキンク帯が導入されていることも確認できた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究の一部は、JSPS科研費(JP21H00087, JP21H00110)ならびに物質・材料研究機構 連携拠点推進制度の支援のもと行われました。感謝申し上げます。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Yuji Shirakami, Orientation Dependence of High Temperature Compressive Behavior of Textured Ti3SiC2, MATERIALS TRANSACTIONS, 64, 805-812(2023).
DOI: 10.2320/matertrans.MT-MD2022012
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 池田賢一、清英一、村岡丈太朗、三浦誠司、森田孝治、鈴木達、目義雄 ミルフィーユ構造を有するMAX相セラミックスの力学特性に及ぼすキンク変形の影響 軽金属学会第144回春期大会 香川大学 2023.5.14
- 清英一、池田賢一、三浦誠司、森田孝治、鈴木達、目義雄 【奨励賞受賞】Ti3SiC2-MAX相セラミックス配向無加圧焼結体の組織評価とキンク発達過程の調査 2023年度日本鉄鋼協会・日本金属学会両北海道支部合同サマーセッション 室蘭工業大学 2023.7.14
- 村岡丈太朗、池田賢一、三浦誠司、森田孝治、鈴木達、目義雄 配向組織を有するTi2AlC-MAX相セラミックスにおける高温変形挙動の異方性の評価 日本金属学会2023年秋期(第173回)講演大会 富山大学 2023.9.20
- 清英一、池田賢一、三浦誠司、森田孝治、鈴木達、目義雄 Ti3SiC2-MAX相セラミックスにおけるキンク強化の支配因子評価 日本金属学会2023年秋期(第173回)講演大会 富山大学 2023.9.20
- 池田賢一、村岡丈太朗、三浦誠司、森田孝治、鈴木達、目義雄 磁場中スリップキャストにより作製したTi系MAX相セラミックスの諸特性における結晶⽅位依存性 東北大学金属材料研究所 大洗・アルファ合同研究会 東北大学 東京分室 2023.9.27
- Eiichi Sei, Ken-ichi Ikeda, Seiji Miura, Koji Morita, Tohru S. Suzuki, Yoshio Sakka Effects of kink boundaries and porosity on high-temperature mechanical properties in Ti3SiC2 MAX phase ceramics International Conference on Powder and Powder Metallurgy (JSPMIC2023) Kambaikan, Doshisha University, Kyoto 2023.10.17
- 村岡丈太朗、池田賢一、三浦誠司、森田孝治、鈴木達、目義雄 【優秀発表賞受賞】Ti2AlC-MAX相セラミックスにおける高温変形挙動の結晶方位依存性 粉体粉末冶金協会2023年度秋季大会(第132回講演大会) 同志社大学 2023.10.19
- 清英一、池田賢一、三浦誠司、森田孝治、鈴木達、目義雄 キンク帯を導入したTi3SiC2-MAX 相セラミックス緻密焼結体の創製 日本金属学会2024年春期(第174回)講演大会 東京理科大学 葛飾キャンパス 2024.3.19
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件