利用報告書 / User's Report

【公開日:2023.08.03】【最終更新日:2024.03.22】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NR0007

利用課題名 / Title

分子カプセルを利用した蛍光プローブの開発

利用した実施機関 / Support Institute

奈良先端科学技術大学院大学

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

ヘミクリプトファン


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

牧田 佳真

所属名 / Affiliation

大阪歯科大学化学教室

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

西川嘉子,淺野間文夫,片尾昇平,山垣美恵子,上久保順子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NR-501:マトリックス支援レーザーイオン化Spiral飛行時間型質量分析計
NR-302:微小単結晶X線構造解析装置
NR-101:500MHz NMR


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

私たちは、これまでに9員環のお椀型ホスト分子シクロトリベラトリレン(CTV)誘導体を基盤とした分子カプセルについて研究展開を行ってきました。特に、CTVと配位子をリンカーで連結させた分子カプセルは、ヘミクリプトファンと呼ばれ、その空洞内部に生理活性物質であるアセチルコリンを包接するホスト分子として機能することを発見しました。また、基質と金属イオンを同時に空洞内部に包接することから、ヘミクリプトファンの空洞内部を反応場とする触媒特性を明らかにしてきました。そのような背景から、本研究ではCTV誘導体の性質を利用した新たな蛍光プローブの開発を目的としています。小分子による蛍光プローブは、細胞内の多種多様な生体分子が混在する環境下でバイオイメージングするための必須の化学ツールとなっていますが、より広範な生体内の事象を可視化するために、さらなる高次機能化が求められています。本研究では、キノリン誘導体を導入した新規亜鉛金属錯体を合成し、その詳細な構造を明らかにすることで、生体内の生理活性小分子に対して蛍光応答可能なプローブの開発を進めていくことを目的としています。

実験 / Experimental

これまでに合成していたCTVのスペーサーにトリエチレングリコール鎖、配位子1にキノリノールを有する三座配位子の亜鉛錯体について、NMRの測定手法の一つDOSY測定を行って頂いた。また、今回新たに開発したCTVのスペーサーにオクチル鎖、配位子にキノリノールを有する三座配位子2を開発した。新たに合成した2についてMALDI -TOF-MSにて質量分析して頂いた。また、別途合成したトリアミド基を有する新規ヘミクリプトファン3のX線結晶構造解析を行なって頂いた。

結果と考察 / Results and Discussion

配位子1の亜鉛錯体は、DOSY測定の結果から複数種類の錯体が生成しているのではなく、1種類の錯体が生成していることが明らかとなった。また、亜鉛錯体1にコリンを添加した場合も、コリンと1種類のみの錯体が生成していることが明らかとなった。また、MALDI-TOF-MS測定にの結果、三座配位子2が確かに合成されていることが明らかとなった。X線結晶構造解析の結果、新規ヘミクリプトファン3が確かに合成されていることが明らかとなった。ヘミクリプトファン3は三つのアミド基のカルボニル酸素が外側を向き、内部に中空構造を形成していることが明らかとなった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究の一部は、文部科学省マテリアル先端リサーチインフラ事業の支援により、奈良先端科学技術大学院大学で実施されました。ご対応いただいた、技術職員の西川 嘉子氏、片尾 昇平氏、淺野間 文夫氏に感謝申し上げます。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Yoshimasa Makita, Direct synthesis and characterization of endohedral zinc(II) hemicryptophane complex, Tetrahedron Letters, 107, 154103(2022).
    DOI: 10.1016/j.tetlet.2022.154103
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Yuya Akagi, Yoshimasa Makita, Akihiro Nomoto, Shin-ichi Fujiwara, Akiya Ogawa, "Direct synthesis and characterization of endohedral zinc(II) hemicryptophane complex", 錯体化学 第72回討論会(福岡), 令和4年9月26日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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