【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.19】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23HK0010
利用課題名 / Title
遷移金属酸化物薄膜の構造解析
利用した実施機関 / Support Institute
北海道大学 / Hokkaido Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
電子顕微鏡/ Electronic microscope,集束イオンビーム/ Focused ion beam,量子効果/ Quantum effect
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
迫田 將仁
所属名 / Affiliation
大学院工学研究院応用物理学部門
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
迫田將仁
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術代行/Technology Substitution
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
HK-401:収差補正走査型透過電子顕微鏡
HK-304:集束イオンビーム加工・観察装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
申請者が発見した新奇サイズ効果の発現メカニズムの解明と、金属絶縁体転移をゲート電圧によって制御する。ルテニウム酸化物CaRuO3は通常金属であるが、一定の膜厚では絶縁体へと変貌する。絶縁化に伴って結晶格子が周期的に拡大することを発見し、Mott絶縁体の関与を明らかにした。また、キャリアドーピングに対するCaRuO3の電気抵抗特性を調べるため、イオン液体を用いた電気二重層トランジスタを作製した。2022年度にゲート電圧によって電気抵抗が上昇していることを報告していた。2023年度には水分を除いた良い状態のイオン液体においても、ゲート電圧による電気抵抗上昇を再現した、磁場による絶縁化がエンハンスされることを発見した。
実験 / Experimental
本研究では、表面構造評価のために原子力艦顕微鏡(Atomic Force Microscopy;AFM)を用いた。また、結晶軸評価のために、電子背面散乱回折(Electron Back Scattering Diffraction;EBSD)法を用いた。薄膜試料の断面を実空間で観察するために、走査透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscopy;STEM)と、試料を切り出すための(Focused ion beam;FIB)を用いた。
結果と考察 / Results and Discussion
従来の量子サイズ効果と比較して、申請者が発見したCaRuO3の膜厚に依存するサイズ効果の変化率は室温でも数千倍大きい。一方で、サイズ効果の極大値である絶縁状態についても、膜厚に依存して電気抵抗率の大きさが変わっておりそのエンハンス条件が不明であった。新奇サイズ効果を有効に活用するためには、その絶縁化を再現よく達成する必要がある。その成膜条件の1つであるカルシウムとルテニウムの供給比率に注目し、ターゲット物質であるCaRuO3の成膜条件に対するサイズ効果の変貌を明らかにした。カルシウム元素の供給比率をあげることで、サイズ効果の絶縁状態のエンハンスを確認した。Ca/Ru=1.2の成膜条件では電気抵抗率の極大値は4Kの低温において 2x 10-3 Wcmであった。一方で、Ca/Ru=1.6の成膜条件においては、4Kで最大103 Wcmまで大きく上昇した。Ca/Ru ≦ 1.2の条件では、薄膜表面に~10Åの深いクラックが形成されることを原子間力顕微鏡によって確認した。この構造が同一の薄膜中での厚さの違いを生み出しており、サイズ効果のエンハンスを抑制していると結論付けた。一方で、Ca/Ru ≧ 1.4 とカルシウム供給を多くする成膜条件においてクラックが消失しており、特にCa/Ru = 1.4の条件では平均面粗さが Ra = 1.4 Åと、下地となるネオジガレート基板に匹敵する平たんさを達成した。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件