【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.24】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23HK0002
利用課題名 / Title
細胞バイオメカニクス研究のためのマイクロデバイス開発
利用した実施機関 / Support Institute
北海道大学 / Hokkaido Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials
キーワード / Keywords
蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,成形/ Molding,リソグラフィ/ Lithography,ダイシング/ Dicing,ボンディング/ Bonding,流路デバイス/ Fluidec Device,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control,生体イメージング/ In vivo imaging,細胞培養デバイス/ Cell Culture Device
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
豊原 涼太
所属名 / Affiliation
北海道大学 工学研究院 機械・宇宙航空工学部門
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
根本 凌汰,馮 欣然,寄木 隆矢
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
松尾 保孝,Agus Subagyo,細井浩貴,アグス スバギョ
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術相談/Technical Consultation
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
HK-702:両面マスクアライナ
HK-705:ダイシングソー
HK-707:スピンコーター
HK-604:レーザー描画装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
全ての多細胞生物は,細胞同士が互いに接着しあって様々な組織や臓器を構成している.細胞同士が互いに接着するとき,細胞-細胞間には力が発生しており,この力が細胞集団の機能や生理において重要な役割を果たすことが示唆されている[1].細胞間力の計測方法として,蛍光張力検出モジュールの導入[2]やレーザー誘起衝撃力による細胞乖離力測定[3]などがあるが,依然として計測は困難である.そこで我々の研究グループでは,生細胞内にマイクロ磁気ビーズを内包させ,外部磁場により駆動させることで細胞間力を任意に計測・制御できる実験系の確立を目指している.マイクロ流路デバイスを用いて液滴内に細胞とビーズを内包させることで導入するビーズ数を制御し,必要な力の大きさに応じた磁気ビーズの導入を行うものであり,今回は細胞を内包させる液滴の生成を行った.液滴は,内包したい細胞サイズや実験効率を考慮し,直径40 μm程度かつ10 Hz以上で生成することを目指した.
実験 / Experimental
レーザー描画装置を用いてフォトマスクを作製した後,マスクアライナにおいてフォトマスクを通じて紫外線を露光することでフォトレジストにパターンを転写し現像工程を経てモールドを作製した.ソフトリソグラフィーによりPDMSデバイスを作製し,プラズマ照射を経てスライドガラスに接着させ,マイクロ流路デバイスを作製した(図1).分散相流入口から細胞培養液(DMEM)を,連続相流入口から界面活性剤(Span80)を4%混ぜたMineral Oilをいくつかの流速条件で流し,生成された液滴を流出口にて観察した.
結果と考察 / Results and Discussion
液滴が生成される様子を図2に,流速条件と生成された液滴直径および生成周波数を表1に示す.10 Hz以上の生成周波数はすべての条件で達成されていた.液滴直径が目標としていた40 μmに最も近くなる条件は,連続相流100 μL/hrかつ分散相流20 μL/hr(直径44.67 μm),連続相流50 μL/hrかつ分散相流20 μL/hr(直径36.71 μm)であった.連続相流と分散相流をそれぞれ減少させると液滴直径は減少しており,これらの流速を調節することで設計した液滴直径の生成が可能であることが示された.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 マイクロ流路デバイスの設計.
図2 生成された液滴(連続相流:100 μL/hr,分散相流:50 μL/hr).スケールバー:50 μm.
表1 液滴生成実験の結果.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
[1] Kumar, S. and Weaver, V. M. Mechanics, malignancy, and metastasis: The force journey of a tumor cell. Cancer and Metastasis Reviews, Vol. 28 (2009), pp. 113-127.
[2] Tambe, D.T., Hardin, C.C., Angelini, T.E., Rajendran, K., Park, C.P., Picamal, X.S., Zhou, E.H., Zaman, M.H., Butler, J.P., Weitz, D.A., Fredberg, J.J. and Trepat, X. Collective cell guidance by cooperative intercellular forces. Nature Materials, Vol. 10 (2011), pp. 469-475.
[3] Hosokawa, Y., Hagiyama, M., Iino, T., Murakami, Y. and Ito, A. Noncontact estimation of intercellular breaking force using a femtosecond laser impulse quantified by atomic force microscopy. Proceedings of National Academy of Sciences, Vol. 108, No. 5 (2011), pp. 1777-1782.
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 根本 凌汰,Lee Sungkil,豊原 涼太,大橋 俊朗,“磁場による細胞操作技術のための磁気ビーズ導入マイクロ流路デバイスの開発”日本機械学会第34回バイオフロンティア講演会,令和5年12月16-17日
- 谷田 凌祐,豊原 涼太,大橋 俊朗,“マイクロピペット吸引法と微小流路デバイスを用いた細胞の力学特性計測” 日本機械学会北海道支部第53回学生員卒業研究発表講演会,令和6年3月2日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件