【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.04.11】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23AT0288
利用課題名 / Title
酸化ハフニウムナノアンテナの作製と紫外応答
利用した実施機関 / Support Institute
産業技術総合研究所 / AIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
メタマテリアル/ Metamaterial,ALD,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,エリプソメトリ/ Ellipsometry
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
村井 俊介
所属名 / Affiliation
京都大学大学院工学研究科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
山崎 将嗣
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
ナノ粒子が周期的に配列したナノアンテナに光を照射すると、個々のナノ粒子における振動分極がそれら自身の作る散乱場を介して放射結合することによって分極の集団振動が引き起こされる。この現象は表面格子共鳴(Surface Lattice Resonance : SLR)と呼ばれており、ナノ粒子の周期性に起因した応答を示すため、周期構造の設計による共鳴波長の制御が可能となる。これまでSLRに主として利用されてきた金属ナノ粒子に比べ、高い屈折率と低い消衰係数を持つ誘電体ナノ粒子は共鳴によるスペクトルがシャープになり、電気双極子に加えて磁気双極子による共鳴も励起されることが知られている。特にTiO2は可視域において高屈折率かつ低損失な誘電体材料として研究が進められているが、バンド間遷移由来の吸収により紫外域での応用は困難である。本研究では、紫外域で透明な広いバンドギャップを持つ酸化物である酸化ハフニウム(HfO2)を用い、ナノインプリント法を利用してナノアンテナを作製した。紫外域における消光スペクトル測定によってSLRを観察することを試み、紫外励起の蛍光体と組み合わせた際の発光スペクトルに及ぼすナノアンテナの効果を調べた。
実験 / Experimental
SiO2ガラス基板上に原子層堆積(ALD)法によって成膜したHfO2薄膜に対してエッチングマスクとして厚さが150 nmのAl薄膜を蒸着した。この試料にレジストを塗布し、ナノインプリントによってパターンを形成した後、O2アッシング及び2段階の反応性イオンエッチング(RIE)を施し、HfO2ナノ粒子から成る六方格子ナノアンテナ(周期:200 ~ 300 nm)を作製した。得られた試料の構造を走査型電子顕微鏡(SEM)によって調べた。また、屈折率1.46のマッチングオイルを用いアンテナ周辺の屈折率を均一とした条件下で消光スペクトルの入射角度依存性を測定し、紫外応答を調査した。アンテナ上に色素を含むPMMA層をスピンコートにより塗布し、He-Cdレーザー(波長325 nm)励起による発光スペクトルの入射角(θin)および放出角(θem)依存性を調査した。
結果と考察 / Results and Discussion
周期250 nmのナノアンテナ上に塗布した発光層空の発光スペクトルは、構造のないガラス基板上に塗布した発光層に比べ強度が上がると共にスペクトル形状が大きく変化した(Fig. 1)。発光増強の起源を調べるために発光スペクトル強度の励起レーザー入射角θin依存性を比較したところ、θin = 4°で波長に依存しない発光強度の上昇が確認された。これは励起光閉じ込めに起因するものと考えられる。また、波長368 nmで入射角に依存しない増強が確認されており、これは光取り出し効果による増強であると考えられる。励起光の入射角をθin = 4°で固定した放出角依存性の測定(Fig. 2)からSLRが励起される波長・角度条件において光取り出し効果による発光強度の上昇(最大約22.6倍)が見られた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 PL intensity of the dye-doped polymer layer on the HfO2 hexagonal nanoantenna with a period of 250 nm at θin = 4º and θem = 31º. Also plotted is the PL spectrum of the same layer on the flat substrate.
Fig. 2 PL enhancement of the dye-doped polymer layer on the HfO2 hexagonal nanoantenna with a period of 250 nm as a function of θem at θin = 4º. The PL intensity was normalized to that from the same layer on the flat substrate.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Shunsuke Murai, Dielectric lattices working in ultraviolet region, UV and Higher Energy Photonics: From Materials to Applications 2023, , 18(2023).
DOI: doi.org/10.1117/12.2678241
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件