利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.27】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23AT0233

利用課題名 / Title

表面弾性波を用いた単一飛行電子の量子制御

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions

キーワード / Keywords

表面弾性波,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,リソグラフィ/ Lithography,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,高周波デバイス/ High frequency device,スピントロニクスデバイス/ Spintronics device,スピントロニクス/ Spintronics,量子効果/ Quantum effect


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

太田 俊輔

所属名 / Affiliation

産業技術総合研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

郭 哲維,杉山 和義

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-006:マスクレス露光装置
AT-109:6インチ電子ビーム真空蒸着装置(アールデック)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

表面弾性波(SAW)は、スピントロニクス、量子音響、電子-量子光学など様々な分野で大きな可能性を秘めているが、SAW発生回路から発生する電磁波がしばしば大きなハードルとなっている。ここでは、電磁波を低減しながらSAWを発生させるために、インターディジタルトランスデューサ(IDT)の差動励起を検討した。その結果、全方向で電磁波の放射を90%以上抑制することができた。この電磁波の抑制は、SAWシステムの動作限界を克服し、スケーラビリティを向上させる。この成果は、幅広い研究分野において、SAWを用いたアプリケーションの開発を促進するものと期待される。

実験 / Experimental

室温でセミオートプローブステーションを用いてデバイスの測定を行った。デバイスはGaAs基板上に作製され、IDTとIDTに接続された金属パッドで構成されている。IDTの電極は、標準的な電子ビームリソグラフィと連続薄膜蒸着(Ti 3 nm、Al 27 nm)を用いて作製した。金属パッドは、標準的なフォトリソグラフィー[AT-006]と連続的な薄膜蒸着[AT-109](Ti 20 nm、Au 100 nm)を用いて作製した。同じ設計の2つのIDTが、SAW伝搬方向に1000μmの間隔で向かい合って配置されている。一方のIDTはSAW発生器として機能し、もう一方のIDTはSAW検出器として機能する。両方のIDTは、共振周波数1 GHz(λ=2.86 μm)でSAWを発生・検出するように設計されており、40対の電極、30 μmの開口部を持つ。SAWの伝搬方向は[110]方向とした。コンタクト・メタル・パッド(長さ330μm、幅60μm)が各IDTの上部電極と下部電極に接続されている。これらのパッドは電磁波の検出器としても機能する。SAWを励起する共振交流電圧は 任意波形発生器 によって供給され、異なる同軸ケーブルを通してIDTの上部電極と下部電極にそれぞれ供給される。差動励振の場合は、それぞれIDTの上部電極と下部電極に異なる同軸ケーブルを通して供給される。

結果と考察 / Results and Discussion

実験の結果、SAW ベースのデバイスにおける電磁クロストークを緩和する差動励振の有効性を実証することができた。実験結果は、このアプローチが望ましくない電磁波成分の90%以上を無効化でき、大幅な低減を達成できることを示した。この電磁波の抑制は、SAWシステムの動作限界を克服し、スケーラビリティを向上させる。この成果は、幅広い研究分野において、SAWを用いたアプリケーションの開発を促進するものと期待され、例えば、SAWポテンシャルを用いた単一飛翔電子の制御精度の向上に寄与する。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)



成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Shunsuke Ota, Yuma Okazaki, Shuji Nakamura, Takehiko Oe, Hermann Sellier, Christopher Bauerle, Nobu-Hisa Kaneko, Tetsuo Kodera, and Shintaro Takada, "Suppression of Electromagnetic Crosstalk by Differential Excitation for SAW Generation", 投稿中
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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