利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.03.22】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23AT0143

利用課題名 / Title

超高温環境で動作するAlNデバイスの作製

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion

キーワード / Keywords

エレクトロデバイス/ Electronic device,ワイドギャップ半導体/ Wide gap semiconductor,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,ワイヤーボンディング/ Wire Bonding,X線回折/ X-ray diffraction


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

奥村 宏典

所属名 / Affiliation

筑波大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

川又 彰夫,郭 哲維

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-109:6インチ電子ビーム真空蒸着装置(アールデック)
AT-082:化合物半導体エッチング装置(ICP-RIE)
AT-023:電子ビーム真空蒸着装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

Si(シリコン、ケイ素)半導体は、あらゆる機器に使われており、私たちの生活に欠かせないものになっています。しかし、Si素子の動作可能温度は300℃以下に限られることから、地下資源掘削や宇宙探索、エンジン周辺部といった300℃を超える環境での素子動作が求められています。高温環境で動作する半導体素子を実現するには、絶縁体に近い材料を用いる必要があります。現在、窒化アルミニウム(AlN)結晶は、最も絶縁体に近い半導体の一つで、既に、AlNを使ったダイオードやトランジスタの動作報告例が数多くあります。また、AlN素子が高温耐性に優れているという理論予測もあります。しかしながら、電気特性を調べる装置の性能上、素子動作が実証できるのは500℃以下に限られていました。本研究では、900℃まで測定可能な電気特性の評価装置を用意し、優れた結晶品質を持つ独自のAlN試料を用いてダイオードとトランジスタの作製および評価を行いました。

実験 / Experimental

本研究では、3 mm厚のAlN試料にSiイオン注入した後、熱処理することでn型化させ、電気伝導層として用いました。その後、50 nmのNiをマスクとして用い、塩素系RIE(Cl2/BCl3 mixing gas of 25/5 sccm at inductively coupled plasma (ICP)/bias powers of 150/30 W and the chamber pressure of 0.6 Pa for 2 min)によりAlNをエッチングしました。その後、硫酸と過酸化水素水との混合液によりNiを溶かしました。SBDのアノード電極とカソード電極として、Ni/AuとTi/Al/Ti/Auを用いました。MESFETのソース/ドレイン電極とゲート電極として、Ti/Ai/Ti/AuとNi/Auを用いました。

結果と考察 / Results and Discussion

半導体素子は、温度を上げるとOFF時の電流が増え、ON時の電流との差(on/off比)が小さくなります。今回、AlN SBDでは、827℃でもon/off比~104、AlN MESFETでは、727℃でもon/off比~103を維持できることが分かりました。これはダイオードとしては最も高い動作温度です。ポイントは、高品質AlN層とNi電極です。結晶欠陥を介して漏れ電流が生じますが、高品質膜を利用したことで低く抑えることができました。ショットキー電極として用いたNiは、827℃でもAlN表面と反応することなく、熱的に安定であること分かりました。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] H. Okumura et al., Jpn. J. Appl. Phys. 57, 04FR11 (2018).[2] J. Lemettinen et al., IEEE Elect. Device Lett. 40, 1245 (2019). [3] H. Okumura et al., Jpn. J. Appl. Phys. 61, 026501 (2022).
本研究は、日本学術振興会科学研究費(23H01863、19H02166)およびDOWAテクノファンドを中心とした研究プロジェクトの一環として、DOWAエレクトロニクス株式会社との共同研究により実施されました。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Hironori Okumura, Temperature dependence of electrical characteristics of Si-implanted AlN layers on sapphire substrates, Applied Physics Express, 16, 064005(2023).
    DOI: 10.35848/1882-0786/acdcde
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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