【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.02.27】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23AT0081
利用課題名 / Title
層間絶縁膜としてのPMMAネガレジストの検討
利用した実施機関 / Support Institute
産業技術総合研究所 / AIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
エレクトロデバイス/ Electronic device,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,電子線リソグラフィ/ EB lithography
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
井上 悠
所属名 / Affiliation
産業技術総合研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
佐藤 平道,木塚 優子,郭 哲維,赤松 雅洋,杉山 和義,渋谷 直哉
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
AT-093:高速電子ビーム描画装置(エリオニクス)
AT-109:6インチ電子ビーム真空蒸着装置(アールデック)
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
積層構造を有する縦型接合素子は、磁気トンネル接合素子、強誘電体トンネル接合素子をはじめとした電子デバイス応用だけではなく、平板トンネル接合素子による電子状態トンネル分光等、基礎物理学的な物性を明らかにする目的にも頻繁に用いられる構造である。これらの構造では、電気伝導性を有する下部電極、上部電極、その間に挿入されるトンネル絶縁膜で構成される。上部電極を外部回路と接続するために、上部電極とは別にチップ上にしばしば大きな電極パッドを作製するが、その場合に、下部電極と電気的絶縁を確保することが必要になる。この目的のために、層間絶縁膜として酸化物の厚膜を下部電極上に製膜することが一般的であるが、素子作製のための工程数が増加することや、リフトオフで絶縁膜をパターニングする場合は細かい構造が作りづらいという問題があった。そこで今回は、電子線レジストであるPMMAに、高いドーズで電子線を照射するとネガレジストとして活用できることを利用して、電子線リソグラフィーで層間絶縁膜の作製を試みたので報告する。
実験 / Experimental
AT-109 6インチ電子ビーム真空蒸着装置を用いて、Si/SiO2基板上に下部電極としてTi/Au(30 nm)を蒸着した。その後、電子線レジストとして950 PMMA A4をスピンコート(5000 rpm)、150℃で5分プリベークを行った。露光は、AT-093 高速電子ビーム描画装置を用いて、加速電圧130 kV、ビーム電流5 nA、ドーズ7500 μC/cm2、及び75000 μC/cm2で行った。現像液にはアセトンを用いた。
結果と考察 / Results and Discussion
アセトンで現像を行うと、ドーズ7500 μC/cm2ではPMMAは全て除去されてしまった。一方で、ドーズ75000 μC/cm2では、電子線照射を行った部分のみPMMAが残っていることを確認した。PMMAをポジレジストとして使う場合の適正ドーズはおよそ700 μC/cm2であるので、その約100倍に相当する。アセトンだけではなく、NMP剥離液に浸漬しても安定であることから、電子線照射によってPMMAがクロスリンクしたと考えられる。文献[1]によれば、PMMAネガレジストとしてのドーズ閾値はおよそ600 C/m2であるので、今回の結果とよく合致している。
Figure 1(a)に、ドーズ75000 μC/cm2の場合の素子の光学顕微鏡像を示す。ここでは、PMMA上にさらにCu/Ti/Au上部電極パッドを作製している。電極パッドのサイズは50 μm × 50 μmである。電極パッドの縁に薄い膜状に見えるのが、PMMA層間絶縁膜である。触針式段差計で膜厚を測ってみると、PMMAの膜厚は164 nmだった(Fig. 1(b))。今後は、下部電極と上部電極パッドの間のI-V測定を行って、PMMAネガレジストの絶縁性を評価するとともに、温度変化に対する安定性も評価する計画である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
Fig. 1 (a) Optical microscope image of the fabricated device. (b) Height profile of the PMMA/Cu/Ti/Au stack.
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
参考文献 [1] A C F Hoole et al., Semicond. Sci. Technol. 12 1166 (1997).
技術支援を行ってくださった産業技術総合研究所ナノプロセシング施設の木塚様、郭様、赤松様、杉山様、渋谷様に感謝いたします。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件