【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.01】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NR0029
利用課題名 / Title
酸性型Sophorolipidによる自己集合的ナノ粒子の特性理解と送達キャリアーへの応用
利用した実施機関 / Support Institute
奈良先端科学技術大学院大学 / NAIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials
キーワード / Keywords
生体由来素材/ Bio-based materials、透過型電子顕微鏡/ Transmission electron microscopy、ソフォローズ脂質/sophorose lipid,電子顕微鏡/ Electronic microscope
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
山下 琢矢
所属名 / Affiliation
和歌山県立医科大学 薬学部 病態解析学研究室
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
長野 一也,堤 崚太郞
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
安原 主馬,藤原 正裕 ,河合 由子
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
手荒れなどの皮膚トラブルが増加する現代では、安全性の高い皮膚用化粧品の開発が求められている。このニーズを満たしうる新たな基材の一つとして、我々は、バイオサーファクタント(BS)の中でも酵母Starmerella bombicolaによって生産されるsophorose lipid (SL)に着目した。SL は、両親媒であることに加え、他のBSより細胞障害性が低いため、安全な経皮デリバリーキャリアとして期待されている。しかし、SLは水溶液中でのミセル粒子化が期待されるものの、その物理化学的特性に関する科学的基礎情報は乏しい。特に、化粧品として使用されるpH4.5-6.0といった弱酸性におけるSL粒子の形態は不明である。
そこで本研究では、SL粒子の物理化学的特性の理解を目的として、透過型電子顕微鏡 (TEM)を用いて、弱酸性状態のSL粒子の形態を解析した。
実験 / Experimental
pH 5.5, 7.4の2%SL溶液を作製し、0.45 μmフィルターで処理後、TEMによりSL粒子を観察した。その際、染色剤には、それぞれのpHに調整した、1%リンタングステン酸溶液と1%モリブデン酸アンモニウム溶液を使用した。
結果と考察 / Results and Discussion
様々なpHにおけるSL粒子の形態を明らかにするため、汎用されるリンタングステン酸で染色し、pH 5.5のSL溶液をTEMで観察した。その結果、球形粒子とは異なる紐状の物体が観察された。そこで、1%リンタングステン酸溶液のみでも観察したところ、リンタングステン酸由来と考えられる紐状の物体が同様に観察された。これらの結果から、pH5.5といった弱酸性条件のリンタングステン酸による染色では、紐状の物体が観察されるため、弱酸性条件のSL粒子の形態を解析できないことが示唆された。
そこで、弱酸性条件に適しているモリブデン酸アンモニウムで染色し、pH 5.5のSL溶液をTEMで観察した。その結果、リンタングステン酸で見られた紐状の物体が観察されず、モリブデン酸アンモニウム溶液でpH 5.5のSL粒子を解析可能であることが示唆された。詳細に解析したところ、pH 7.4のSL溶液と同様に、pH 5.5のSL溶液でも、球形粒子が観察された。
以上の結果から、SLは、pH 5.5の弱酸性条件においてもミセル粒子を形成することが示唆され、経皮デリバリーキャリアとして利用できる可能性が提示された。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
NAISTの准教授:安原主馬先生、技術職員:藤原正裕氏と河合由子氏にご担当いただいた。なお、本研究は、2023年度試行的利用の採択を受けて実施した。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件