利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.01】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NR0018

利用課題名 / Title

負熱膨張を示す窒化マンガン系薄膜の磁性と体積の相関関係の研究

利用した実施機関 / Support Institute

奈良先端科学技術大学院大学 / NAIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions

キーワード / Keywords

マンガン窒化物、熱膨張、磁性体薄膜,X線回折/ X-ray diffraction,スピントロニクス/ Spintronics


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

貞島 幹大

所属名 / Affiliation

名古屋工業大学 工学研究科 工学専攻 創造工学プログラム

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

片尾 昇平

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NR-301:X線構造解析装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

逆ペロブスカイト構造を持つマンガン窒化物のMn4Nは強磁性体であるが、1つのマンガンを別の元素に置換したMn3SnNやMn3SnxCu1-xNは反強磁性体になる。中でもMn3SnxCu1-xNはΓ5g型反強磁性体であり、ある温度領域では温度変化に伴う磁気秩序の変化により温度が上昇すると体積が小さくなる負の熱膨張を示す物質として知られている。このような負の熱膨張を示す物質の薄膜を電子デバイスに組みこむことで、熱膨張に伴う体積膨張を抑制することが期待できる。Mn3SnxCu1-xNを薄膜化した場合の熱膨張係数への影響が調べられていないため、本研究ではMn3SnxCu1-xN薄膜の熱膨張率の変化を調べた。

実験 / Experimental

MgO(001)基板上にパルスレーザー堆積法を用いてMn3SnxCu1-xN(x=0.2, 0.4, 0.6, 0.8)薄膜を作製した。試料の磁気特性はSQUID磁束計による磁化測定およびメスバウアー分光測定により調べた。試料の格子定数の温度依存性を調べるために、温度可変試料台を有するX線構造解析装置(NR-301)を用いて温度を30℃から80℃の範囲で変えて面内、面直方向のX線回折測定を行い、得られたスペクトルから面内および面直方向の格子定数を見積もった。

結果と考察 / Results and Discussion

Mn3SnxCu1-xN薄膜はMgO(001)基板上にエピタキシャル成長するが、Mn3SnxCu1-xNの他に微量のMnOなどが生成されていることがわかった。X線回折測定から見積もった室温における面内および面直方向の格子定数の結果から、Snの割合の増加とともに格子定数が大きくなることがわかり、また同じ組成では面直方向の格子定数よりも面内方向の格子定数のほうが大きくなる傾向が見られた。これは薄膜化したことにより、基板の影響を受けたためと考えられる。メスバウアー分光測定の結果からSnの増加とともに大きな内部磁場をもつSnの割合が増えることがわかり、またx=0.4の薄膜ではネール温度が室温付近に存在すると予測されることがわかった。そこで、室温付近での磁気相転移による負の熱膨張が期待されるx=0.4の薄膜について、温度変化に伴う格子定数の変化を調べたが、明確な格子定数の変化は確認されなかった。この原因はMn3SnxCu1-xNの他の成分が存在するために、負の熱膨張が観測されなかったことが考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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