利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.01】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23NR0016

利用課題名 / Title

強相関金属酸化物のひずみ印加オペランド構造計測

利用した実施機関 / Support Institute

奈良先端科学技術大学院大学 / NAIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed

キーワード / Keywords

機能性酸化物、圧電性、結晶構造,センサ/ Sensor,X線回折/ X-ray diffraction


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

服部 梓

所属名 / Affiliation

大阪大学 産業科学研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NR-301:X線構造解析装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

“力”が生み出す機能性の代表例であるひずみに応答して変化する電気伝導性は、センサ、メモリ、振動発電技術など多様な用途に応用できる、安心、安全、健康生活の実現に必要な特性である。独自ナノ立体造形技術を駆使し、典型的な強相関金属酸化物対象材料であるVO2の原子レベル構造・配向・形態を精密に制御するために、四点曲げ試験装置を用意し、曲げ変形によってナノ構造試料に歪み勾配を与え、オペランドの構造測定を行い、力学応答性の起源の解明を試みる。

実験 / Experimental

Al2O3単結晶基板上に成長させたVO2の薄膜試料に対し、凹型、凸型の曲げ変形を印加しながら、X線回折測定を室温にて行った。具体的には、結晶方位関係を明らかにするためにAl2O3の対称点(0,0,12)、非対称点(1,-2,12)、(2,0,14)に対し高解像度の逆格子空間マップ(RSM)を実施した。さらに、基板との結晶方位関係を考慮してVO2の対称点(0,0,4)M、非対称点(-2,4,0)M、(2,4,-4)Mに対しRSMを実施し、曲げ変形による結晶構造の変位を定量的に評価した。

結果と考察 / Results and Discussion

図1に凸型(convex)、ひずみ印加ナシ(unstrained)、凹型(concave)のひずみ印加時のVO2(-2,4,0)MのRSM結果を示す。曲げ変形印加に伴い、結晶変形、すなわち格子定数の変化が発生していることが分かる。曲げ変形による電気特性評価を行ったところ、凹型の変形により平均で+1.15℃、凸型で-1.25℃の転移点の変化が発生した。VO2では相転移をつかさどるd電子の相関が、V-V間距離に伴い変化することが良く知られており[1]、ルチル構造のc軸長の変化が相転移温度の変化と強い相関がある。しかし、RSMの結果からは曲げ変形下においてVO2の格子定数の変化はわずかに0.01%の変化に留まっている。このことから、不均一な曲げ変形を加えた場合には、格子定数の変化は殆ど見られないが、転移温度が有意に変わっている、事が見出された。この原因として、フレクソエレクトリック効果が発生していることが示唆され、今後の更なる研究で検証していく。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


VO2(-2, 4, 0)M回折スポットの逆格子空間マッピング像。(左)0.05%の凸型曲げ変形、(真ん中)変形ナシ、(右)0.02%の凹型曲げ変化印加時。


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] Muraoka, Y. ; Hiroi, Z. Applied physics letters 80, 583 (2002)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Sharad S. Mane, Azusa N. Hattori, Hidekazu Tanaka、「Mechanical bending strain effect on the modulation of metal-insulator transition properties in VO2」第71回応用物理学会春季学術講演会、ポスター発表
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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