【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.01】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NR0013
利用課題名 / Title
反応性プラズマ支援成膜法により作製した窒化ホウ素膜の広レンジ機能制御に関する研究
利用した実施機関 / Support Institute
奈良先端科学技術大学院大学 / NAIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed
キーワード / Keywords
窒化ホウ素、反応性プラズマ支援成膜、機能制御,エレクトロデバイス/ Electronic device,PVD,電子分光/ Electron spectroscopy
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
朝本 雄也
所属名 / Affiliation
京都大学 大学院 工学研究科 航空宇宙工学専攻
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
服部達哉,小口尚輝
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
石原綾子,浅野間文夫
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),機器利用/Equipment Utilization
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
窒化ホウ素(BN)は多様な結合構造をとることが知られている.代表的な結合構造としてはグラファイト型のhexagonal-BN(sp2結合相)やダイヤモンド型のcubic-BN(sp3結合相)が挙げられる.これらはいずれも大きなバンドギャップを有しており,それぞれ絶縁体,半導体として応用が期待されるため,不純物導入時の挙動を知ることは重要である.我々はこれまで,反応性プラズマ支援成膜(RePAC)法という成膜手法を提案し,sp2/sp3結合比を制御した多様なBN膜構造をSi基板上に実現してきた.本研究ではRePAC法により金属不純物を供給しながらBN作製を行い,金属導入制御の方法論を提示した.
実験 / Experimental
RePAC法によるBN成膜の概要は次のとおりである.単体Bの電子ビーム加熱によりB蒸気を基板に供給する.このB原子のフラックスはBNの成膜レートを支配する.真空アーク放電によりAr/N2プラズマを生成し窒素ラジカルを基板に供給する.この際,カソードであるタングステン(W)フィラメントへのイオン入射によりWがスパッタされBN膜中に取り込まれる.本研究ではW導入量を2通りの方法で制御した.【1】B加熱電流によるB供給量を変更することで膜中のW割合を相対的に制御する方法である.B供給量を制御するため,B加熱電流を140~300 mAの範囲で変更した.【2】真空アーク放電の電極間電圧によりカソード電極のスパッタ率を変更し,W供給量を直接制御する方法である.電極間電圧を60 V, 70 V, 80 Vとした.作製したBN膜の表面元素組成比をX線光電子分光光度計(NR-401),光学特性を分光エリプソメトリー(弊研所有)[Ref. 1]により評価した.
結果と考察 / Results and Discussion
【1】B加熱電流の変化に伴いBN成膜レートが変化した.W割合は成膜レートの-1乗則に従った.本研究のパラメータ領域では,WフラックスがBフラックスに対して十分小さいことがわかる.【2】電極間電圧の増加に伴いW割合は増加した.成膜レートは電極間電圧に依存しなかった.分光エリプソメトリーにより,BN膜の消衰係数kを決定した.k値はW割合の増加に伴い大きくなり,k値の立ち上がりはW割合の増加に伴い低エネルギー側にシフトした.これはバンド間に形成された準位の影響であると考えられる.
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
[1] T. Hamano et al., Appl. Phys. Lett. 120, 031904 (2022).
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 朝本雄也,野間正男,長谷川繁彦,山下満,占部継一郎,江利口浩二,”熱電子供給型プラズマ支援成膜法による窒化ホウ素膜への金属元素導入制御”,第84回応用物理学会秋季学術講演会(熊本),令和4年9月21日
- 服部達哉,朝本雄也,野間正男,長谷川繁彦,山下満,占部継一郎,江利口浩二,”金属不純物を含む六方晶窒化ホウ素の第一原理計算による解析”,第84回応用物理学会秋季学術講演会(熊本),2023年9月21日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件