【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.01】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23NR0012
利用課題名 / Title
金属内包ヘミクリプトファン錯体を用いた触媒反応の開発
利用した実施機関 / Support Institute
奈良先端科学技術大学院大学 / NAIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)マルチマテリアル化技術・次世代高分子マテリアル/Multi-material technologies / Next-generation high-molecular materials(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials
キーワード / Keywords
ヘミクリプトファン、触媒、金属錯体,質量分析/ Mass spectrometry,質量分析/ Mass spectrometry,X線回折/ X-ray diffraction
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
牧田 佳真
所属名 / Affiliation
大阪歯科大学 化学教室
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
西川 嘉子,片尾 昇平,山垣 美恵子,上久保 順子
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
NR-501:マトリックス支援レーザーイオン化Spiral飛行時間型質量分析計
NR-302:微小単結晶X線構造解析装置
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
生体内の化学反応を基質特異的に触媒する酵素の大きな特徴として、反応中心の周りの配位子だけではなく、第二配位圏と呼ばれる基質を包接する部位を有することが挙げられる。近年、超分子化学の手法を用いて第二配位圏を有する様々な触媒が合成されるようになり、酵素に倣った触媒への注目が集まっている。我々はこれまで9員環のお椀型ホスト分子シクロトリベラトリレン(CTV)誘導体を基盤とした分子カプセルについて研究を行ってきた。特に、CTVと配位子をリンカーで連結させた分子カプセルは、ヘミクリプトファンと呼ばれ、その空洞内部に反応場を構築できることが明らかになっている。本研究では、ナフチル基をCTVと配位子のリンカーとして使用した新たな配位子1を合成した。この配位子に亜鉛イオンを配位させることで、ヘミクリプトファン型の亜鉛錯体を合成した。本亜鉛錯体の構造を明らかにし、基質の選択性や包接挙動を明らかにすることで、金属内包ヘミクリプトファン錯体を触媒とする反応の開発を行うことを目的とした。
実験 / Experimental
配位子1はScheme1に従って合成した。配位子1及び亜鉛錯体の構造決定を行うためにMALDI-TOF-MSにて質量分析を行って頂いた。その他、NMR及び蛍光測定により配位挙動を明らかにした。また、カウンターアニオンの効果を検討するために、ドデカブロモドデカボレート塩の結晶を作成した。得られた結晶をX線結晶構造解析による分析を行って頂いた。
結果と考察 / Results and Discussion
配位子1はこれまでの金属内包ヘミクリプトファンに比べ有機溶媒に非常に溶解性が高いことが明らかとなった。また、MALDI-TOF-MS測定の結果、配位子1及び亜鉛錯体が生成していることが明らかとなった。配位子1のみではコリンと配位しなかったが、亜鉛錯体にコリンを加えると側鎖のナフチル基の蛍光強度が大きく減少した。このことからコリンが内包されることでヒドラゾン部位で配位していた亜鉛がニコチン酸アミド側に移動していることが示唆された。マグネシウム錯体でも同様の挙動が見られたが、ニッケルや鉄錯体では確認されなかった。今回、思いがけずヒドラゾン部位側で配位する金属錯体の合成に成功した。今後、ヒドラゾン部位をCTVから適切な距離に配置することで、様々な反応場を有する金属内包ヘミクリプトファン錯体を開発することが可能であると考えられる。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
配位子1の合成手順
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究の一部は、文部科学省マテリアル先端リサーチインフラ事業の支援により、奈良先端科学技術大学院大学で実施されました。ご対応いただいた、技術職員の西川 嘉子氏、山垣 美恵子氏、上久保 順子氏、片尾 昇平氏に感謝を申し上げます。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件