【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.21】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23UT1117
利用課題名 / Title
新しいリキッドバイオプシーに向けたデバイス開発
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
バイオプシー、がん細胞、循環腫瘍細胞、マイクロ流体デバイス,μTAS,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,流路デバイス/ Fluidec Device
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
早瀬 仁則
所属名 / Affiliation
東京理科大学創域理工学部 機械航空宇宙工学科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
早瀬 仁則
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
がん原発巣から漏れ出し血管中を浮遊するがん細胞は循環腫瘍細胞(CTC: Circulating Tumor Cell)と呼ばれ、がん転移の主たる要因と考えられているため、注目されている。しかしながら、CTCは、血球細胞10億個に数個程度とも言われており、捕捉して解析することは容易ではない。そこで、我々は、血中からCTCの捕捉を目指している。まず、第一段階として、血球細胞よりも大きくて硬い傾向があることを利用して、CTCを濃縮するマイクロ流体デバイスに取り組んでいる。第一段階の寸法選別だけでは、大きめの白血球の混入が避けられないため、第二段階では白血球を特異吸着を利用して取り除く試みを進めている。
実験 / Experimental
第一段階の寸法選別には、決定論的横置換法(DLD: Deterministic Lateral Displacement)に基づくマイクロ流路を採用してきた。この方法は、単なるメッシュと異なり、原理的には目詰まりなく、寸法選別を続けることができる。しかしながら、実際には、流路に形成したマイクロポストアレイ部で頻繁につまりが生じ、寸法選別を困難にしている。Harvard大やPrinceton大の研究グループは、つまりの原因が血小板凝集にあると考え、いくつかの抗凝固剤の血液試料への添加を提案している。この方法は、詰まりを大幅に抑制するものの、依然、詰まりは生じやすく、問題解決には至っていなかった。我々は、詰まりの原因が血小板凝集以外に、血中を浮遊する長鎖のDNAにもあると考え、マイクロポストアレイ部の設計変更およびDNAを収縮させる添加剤を検討した。
結果と考察 / Results and Discussion
マイクロポストアレイ部でのDNAの絡みを抑制するために、マイクロポスト間の隙間を従来の25μmから30μmに拡げたデバイスを試作した。これに、長鎖のDNAを屈曲させて凝集させてポストへの絡まりを抑制する試薬を血液に添加した。健常人の血液で詰まりがほぼ生じないことを確認し、がん患者の血液での実験を進めた。この結果、20例連続で、詰まりによる実験中断を回避することに成功した。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 CTC濃縮実験におけるつまり問題の解消。20例連続で、血流幅の大幅な拡大はなく、濃縮実験を完遂することができた。
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 安積拓矢、市川哲平、久保允人、鈴木利宙、中面哲也、早瀬仁則、”循環腫瘍細胞捕捉のた めのマイクロ流体デバ イスの開発−流路詰ま りの抑制(7)−", 2023年度精密工学会春季大会, H11
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:1件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:1件