【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.16】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23UT1093
利用課題名 / Title
X線光学素子開発のための新たな微細加工プロセスの検討
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials
キーワード / Keywords
X線光学、ヒト肝癌由来細胞,リソグラフィ/ Lithography,電子線リソグラフィ/ EB lithography,ダイシング/ Dicing,高品質プロセス材料/技術/ High quality process materials/technique,光デバイス/ Optical Device,バイオアダプティブ材料/ Bioadaptive materials,細胞培養デバイス/ Cell Culture Device
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
木村 隆志
所属名 / Affiliation
東京大学物性研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
竹尾陽子,島村勇徳,櫻井快,吉永享太,中田勇宇
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
藤原誠,水島彩子,澤村智紀
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術相談/Technical Consultation
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
UT-503:超高速大面積電子線描画装置
UT-500:高速大面積電子線描画装置
UT-505:レーザー直接描画装置 DWL66+2018
UT-506:枚葉式ZEP520自動現像装置
UT-900:ステルスダイサー
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
本研究では、電子線リソグラフィなどの超微細加工プロセスを活用したX線イメージング用の新規光学素子の開発に取り組んでいる。研究では主に波長数ナノメートルの軟X線領域を対象としており、可視光での露光やルーリングマシンといった従来技術では、加工可能な形状や精度に限界が生じていた。こうした問題をマテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)が保有する先端微細加工装置群を利用することによって解決を図り、利用者の有するX線ミラー光学系の技術やSPring-8などの先端X線光源と組み合わせることで新たなX線顕微イメージング技術の開発につなげることを目指した。
実験 / Experimental
今年度は特に、これまで開発したX線顕微イメージング技術の様々な応用に焦点を当てた研究に取り組んだ。CVDや電子線リソグラフィ、ウェット/ドライエッチングといった半導体プロセスを利用し、窒化ケイ素薄膜を支持膜とした軟X線顕微鏡用のサンプルホルダを作製した。さらに、窒化ケイ素薄膜上にプラズマ処理や薬品塗布などの表面改質を施すことによって、神経や肝臓など様々な由来を持つ細胞を適切に培養できるよう条件検討を行った。これにより薬剤投与などに伴う細胞の形態変化を軟X線顕微鏡により正確に比較できるようにした。
結果と考察 / Results and Discussion
ヒト肝癌由来細胞を窒化ケイ素薄膜上に塗布・培養した後、抗エイズ薬を投与しその影響をSPring-8 BL07LSUで開発した軟X線顕微鏡で観察した結果を図1に示す。コントロール(図1(a))と比較して、抗エイズ薬を投与された細胞(図1(b))では薬剤ストレスにより大きく形態が変化していることが分かる。脂肪滴と想定される細胞質に存在する粒状の構造が肥大化しているとともに、軟X線顕微鏡の分解能を活かすことでサブマイクロメートルでの核膜周辺の肥厚化も観察された。また、軟X線の位相シフトを定量的に評価することで、核内が特に大きく厚さが増していることが観察された。今回の結果は化学固定処理をした細胞での観察であるが、並行して生きた哺乳類細胞の観察が可能なサンプルホルダの開発にも成功しており、今後新たな1細胞レベルでの薬剤評価システムとしての活用も期待される。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 軟X線顕微鏡で観察したHepG2細胞 (a)抗エイズ薬なし (b)抗エイズ薬あり
図1 軟X線顕微鏡で観察したHepG2細胞 (a)抗エイズ薬なし (b)抗エイズ薬あり
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本研究はJSPS科研費 23H01833, 23KF0019および村田学術振興財団の研究助成を受けて実施された。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Yoko Takeo, Development of soft X-ray ptychography and fluorescence microscopy system using total-reflection wolter mirror and application to measurement of drug-treated mammalian cells, Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 267, 147380(2023).
DOI: https://doi.org/10.1016/j.elspec.2023.147380
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Takenori Shimamura, Ultracompact mirror device for forming 20-nm achromatic soft-X-ray focus toward multimodal and multicolor nanoanalyses, Nature Communications, 15, (2024).
DOI: https://doi.org/10.1038/s41467-023-44269-w
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Takenori Shimamura, Soft-X-ray nanobeams formed by aberration-reduced elliptical mirrors with large numerical aperture, Optics Express, 31, 38132(2023).
DOI: https://doi.org/10.1364/OE.502692
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Yuto Tanaka, Propagation-based phase-contrast imaging method for full-field X-ray microscopy using advanced Kirkpatrick–Baez mirrors, Optics Express, 31, 26135(2023).
DOI: https://doi.org/10.1364/oe.493789
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Takenori Shimamura, Fabrication of ultrashort sub-meter-radius x-ray mirrors using dynamic stencil deposition with figure correction, Review of Scientific Instruments, 94, (2023).
DOI: https://doi.org/10.1063/5.0135367
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- ①木村隆志 ②コヒーレント軟X線による細胞イメージング技術の開発 ③UVSORシンポジウム2023 ④自然科学研究機構岡崎コンファレンスセンター ⑤2023/12/2-3(予定)
- ①木村隆志 ②先端軟X線光源を利用した細胞イメージング技術の開発とその応用 ③第661回高崎研オープンセミナー ④高崎量子応用研究所多目的ホール ⑤2023/9/5
- ①Takashi Kimura and Yoko Takeo ②CARROT: Coherent Achromatic Rotational Reflective Optics for pTychography ③Conference on Laser and Synchrotron Radiation Combination Experiment 2023 ④Pacifico Yokohama, Yokohama ⑤2023/04/21
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件