【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.24】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23UT1088
利用課題名 / Title
圧電デバイスのドライエッチング加工
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
圧電・焦電材料/ Piezoelectric materials and Pyroelectricmaterials,薄膜/ Thin films,プラズマエッチング/ Plasma etching,走査型電子顕微鏡/ Scanning electron microscopy,MEMS/NEMSデバイス/ MEMS/NEMS device,電子顕微鏡/ Electronic microscope,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,ダイシング/ Dicing
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
高橋 徹
所属名 / Affiliation
京セラ株式会社
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
大友喬史,李健,及川貴弘
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
水島彩子様
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
UT-605:塩素系ICPエッチング装置
UT-855:高精細電子顕微鏡
UT-900:ステルスダイサー
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
圧電アクチュエータ(PZT)を適用したデバイスを開発中であり、デバイスの構造形成に向け、圧電アクチュエータの個別素子化を目的とし、プラズマエッチングにて加工条件の検討を行った。
PZTのエッチングメカニズムの把握、エッチングレート及びレジストとのエッチング選択比の最適化を目的とし、エッチングガス種、流量をパラメータとし、実験を行った。
実験 / Experimental
エッチングガス種はCHF3とArを用い、流量比率をパラメータとして実験を実施。
SEMにてエッチング後の出来栄えを観察し、エッチングレートを算出した。
・実験①PZTのエッチングメカニズムの把握
・使用ガス:Arのみ、CHF3のみ
・実験②CHF3とArガスによるエッチング条件の最適化
・使用ガス:Ar+CHF3、各ガスの流量をパラメータとした。
・パラメータ振りをした実験結果をもとにArとCHF3のガス流量を因子として応答曲面法による最適条件の推定を行い、実証実験を行った
結果と考察 / Results and Discussion
①PZTのエッチングメカニズムの把握
・結果:
PZTのエッチングレートはArのみ(流量100sccm)では約30nm/min、CHF3のみ(流量100sccm)では約64nm/minであった。
CHF3の方がエッチングレートが約2倍の結果であった。(表1参照)
・考察:
Arでのエッチングは直進性が高いスパッタリングのエッチングが主である。
CHF3でのエッチングはイオン化したCF+によるスパッタリングエッチングに加え、ラジカル化した粒子とPZTが反応することでPZTの結晶の結合が解け、CF+によるエッチングが促進されると考えられる。CHF3のみでのエッチングの方がエッチングレートが高いことから、PZTのエッチングではラジカルによる反応がエッチング効率を高める効果があると推察される。
②CHF3とArガスによるエッチング条件の最適化
・結果:
Ar:CHF3のガス流量比が9:1の時に、エッチングレートが約101nm/min(目標値:100nm/min以上)、レジストとの選択比が約7.2(目標値:1以上)となり、目標値を満足する結果が得られた。(図1参照)
・考察:
1. 各種単体ガスと混合ガスのPZTエッチングレートを比較すると、PZTのエッチングレートは混合ガスの方が大きくなっている。CH+よりも強いAr+によるスパッタリングエッチングに、
ラジカルによるPZTの結晶結合を分解する作用が加わることでエッチングが加速していると考える。
2. レジストはラジカルによる分解がPZTよりも強く、CHF3の比率が下がることでエッチングレートが低下し、対PZTの選択比の上昇につながっていると考える。Arでのエッチングは直進性が高いスパッタリングのエッチングが主である。
CHF3でのエッチングはイオン化したCF+によるスパッタリングエッチングに加え、ラジカル化した粒子とPZTが反応することでPZTの結晶の結合が解け、CF+によるエッチングが促進されると考えられる。
CHF3のみでのエッチングの方がエッチングレートが高いことから、PZTのエッチングではラジカルによる反応がエッチング効率を高める効果があると推察される。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
表1 ArのみならびにCHF3のみによるPZTのエッチングレート。Arのみ(流量100sccm)では約30nm/min、CHF3のみ(流量100sccm)では約64nm/minであった。
図1 ArとCHF3の流量比を変化させたときのPZTのエッチングレート。Ar:CHF3のガス流量比が9:1の時に、エッチングレートが約101nm/min(目標値:100nm/min以上)、レジストとの選択比が約7.2(目標値:1以上)となり、目標値を満足する結果が得られた。
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
本検討の遂行に当たり、東京大学の水島様を始め、多くの方にご協力を頂きました。
心から感謝申し上げます。
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件