【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.21】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23UT1087
利用課題名 / Title
MEMSセンサの研究
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
表面プラズモン共鳴,センサ/ Sensor,リソグラフィ/ Lithography,電子線リソグラフィ/ EB lithography,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,ダイシング/ Dicing
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
大下 雅昭
所属名 / Affiliation
電気通信大学情報理工学研究科機械知能システム学専攻
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
UT-500:高速大面積電子線描画装置
UT-604:高速シリコン深掘りエッチング装置
UT-900:ステルスダイサー
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
この研究は、脳内への埋め込みが可能な表面プラズモン共鳴型の化学量センサを実現することを目指している。社会的な相互作用(戦闘や繁殖など)に関連する脳の機能を明らかにするには、複数の動物を対象にした研究が必要であり、これらの動物の行動を妨げないように脳の神経活動を無線で計測することが欠かせない。現在、脳内の物質濃度を無線で計測する技術は、電気化学測定法に限られており、これは電気的インピーダンスを計測して目的の化学物質の濃度を推定する方法である。しかし、電気化学測定法では、社会的相互作用に密接に関連するオキシトシンなどの神経ペプチドを、その生理活性のある最低濃度まで測定することができないという問題がある。一方で、表面プラズモン共鳴(SPR)型の化学量センサは、検出下限に関する問題はないものの、体積が大きいプリズムと光検出器を装置外部に必要とするため、脳に埋め込むことが困難だった。そこで、この研究では、SPRセンサを回折格子を用いて平面上で伝搬させ、金属と半導体の間に形成されるショットキー障壁を利用してSPRを検出する新しい構造(図1)を試作し、その特性を評価した。
実験 / Experimental
高速大面積電子線描画装置及びマスク・ウエーハ自動現像装置群を用いてフォトマスク を製作した。ステルスダイサーでシリコンウエハをダイシングした。電気通信大学のク リーンルームを利用し、製作したフォトマスクをもとにガラスウエハに対して表面パタ ーニングを行った。HF vaporによるエッチングでガラス回折格子を形成し、その上にシ リコンを接合してから金とアルミニウムを蒸着して製作した。
結果と考察 / Results and Discussion
金製の回折格子上で表面プラズモン共鳴(SPR)が起こるかどうかを調べるため、金の側から光を当て、反射光の強度を使って入射角ごとにSPRによる光の吸収を測定した。この結果、光の波長に応じて反射率の低下が見られる角度が系統的に変化し、m=-3の回折モードが消失していること以外は理論に基づく予測と一致した。回折格子の形状をAFMで評価した結果、フィルファクタが0.28であることがわかったため、その点をシミュレーションに反映させた結果、m=-3のモードの消失を確認できた。以上の結果より、SPRが発生していることが確認できた。さらに、発生したSPRをウェハの側面で検出できるかどうかを検証するために、ウェハの背面から光を入射し、センサが出力する電流の値を入射角ごとに記録した。この結果、光の強度に対する電流の比率である感度が、回折次数m=-2のモードで反射率の測定と同様の入射角でピークを示し、理論値とも一致することが確認された。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 本研究の表面プラズモン共鳴型化学量センサの概念図[1]
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
[1] M. Oshita, S. Suzuki, K. Masamoto, and T. Kan, “Detection of backside coupled propagating surface plasmon resonance on the sidewall of a wafer,” AIP Advances, vol. 13, no. 11, p. 115325, 2023.
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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M. Oshita, Detection of backside coupled propagating surface plasmon resonance on the sidewall of a wafer, AIP Advances, 13, (2023).
DOI: https://doi.org/10.1063/5.0172613
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 大下 雅昭, 鈴木 紳一, 正本 和人, 菅 哲朗: ガラス基板上を伝搬する表面プラズモン共鳴のウエハ側壁でのショットキー障壁を用いた検出, 第14回マイクロ・ナノ工学シンポジウム, 7P2-PN-54, November 6-9, 2023.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件