利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.09】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UT1080

利用課題名 / Title

電流検出型表面プラズモン共鳴センサの安定性の研究

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

MEMS/NEMSデバイス/ MEMS/NEMS device,センサ/ Sensor,メタマテリアル/ Metamaterial,電子線リソグラフィ/ EB lithography,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,ダイシング/ Dicing


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

菅 哲朗

所属名 / Affiliation

電気通信大学大学院情報理工学研究科機械知能システム学専攻

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

宇梶尚弥,Abubakr Eslam,今井 雄貴,小澤 徹也

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-500:高速大面積電子線描画装置
UT-604:高速シリコン深掘りエッチング装置
UT-900:ステルスダイサー


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

近年,表面プラズモン共鳴(SPR)を用いた化学量センサが広く利用されている.その中でも,金とシリコン界面に発生するショットキー障壁を用いて電流でSPRを検出するセンサが報告されている.電流検出型SPRセンサは,反射光計測用の光学系が必要ないため,小型化に適している.電流検出型SPRセンサは,被測定物の屈折率にのみ応答するべきであるが,金とシリコンは相互拡散を引き起こすため,金の表面までシリコン原子が浸透し,センサの応答が変化する.この変化は,常温でも発生するため,センサの応答が経時的に変化する.そこで,この抑制を行うための構造の開発が必要となる.

実験 / Experimental

そこで,検証用に電流検出型SPRセンサを試作し,シリコンと接触する金属の種類を変えたときの応答の検証を行った.センサは,シリコン基板上にピッチ1µm程度の金回折格子を製作したものとなる.この試作のために,電子線描画装置(UT-500)を用いてSPRカップリング用の回折格子パターンをシリコン上にパターニングした.それをマスクとして,深掘りエッチング装置(MUC-21,UT-604)を用いて回折格子をシリコンに掘り込んだ.その後,ステルスダイサでシリコンをダイシングし,チップを得た.表面に形成する金属膜は,電気通信大学のクリーンルームで成膜した.このとき,シリコンと金からなる,従来型の構成のセンサとともに,金とシリコンの間に高融点金属であり拡散係数の高いモリブデンを挿入したデバイスを試作した.図1に温度安定性を測定中のデバイス構成図を示す。

結果と考察 / Results and Discussion

本研究では,金とシリコンの間に密着層を用いないデバイスと金とシリコンの間にモリブデン密着層を用いたデバイスを作製し,1日毎計10日間計測を行うことで,相互拡散によるセンサ応答の変化が,密着層を用いたことで改善できたことを確認した.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 温度安定性を測定中のデバイス構成図


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Utana Yamaoka, Near-infrared gas spectroscopy based on plasmonic photodetector applied for multiple gas species, Japanese Journal of Applied Physics, 63, 012004(2024).
    DOI: doi.org/10.35848/1347-4065/ad1699
  2. M. Oshita, Detection of backside coupled propagating surface plasmon resonance on the sidewall of a wafer, AIP Advances, 13, (2023).
    DOI: doi.org/10.1063/5.0172613
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. Yuki Kaneda, Masaaki Oshita, Eslam Abubakr, Shiro Saito, and Tetsuo Kan:SPECTROSCOPY FOR CONTINUOUS LIGHT WITH A SUBMICRON GRATING MEMS CANTILEVER PLASMONIC PHOTODETECTOR, The 37th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems (IEEE MEMS 2024), M66-g, Austin, USA, January 21-25, 2024.
  2. Utana Yamaoka, Masaaki Oshita, Yuuki Kaneda, Shiro Saito and Tetsuo Kan: NEAR-INFRARED GAS SPECTROSCOPY BASED ON PLASMONIC PHOTODETECTOR APPLIED FOR MULTIPLE GAS SPECIES, The 22nd International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems (Transducers 2023), T4P.032, June 25-29, 2023.
  3. 宇梶 尚弥*, 今井 雄貴, 小澤 徹也, 菅 哲朗: 電流検出型表面プラズモンセンサの温度依存性の研究, 第14回マイクロ・ナノ工学シンポジウム, 6P5-PN-34, November 6-9, 2023.
  4. 今井 雄貴*, 鈴木 紳一, Abubakr Eslam, 瀧 真清, 菅 哲朗: 金回折格子構造による電流検出型表面プラズモン共鳴センサの 生体分子計測への適用, 第14回マイクロ・ナノ工学シンポジウム, 8P2-PN-32, November 6-9, 2023.
  5. 小澤 徹也*, 鈴木 紳一, 今井 雄貴, 菅 哲朗: 電流検出型表面プラズモン共鳴化学量センサの小型システム化 の研究, 第14回マイクロ・ナノ工学シンポジウム, 7P2-PN-25, November 6-9, 2023.
  6. Abubakr Eslam*, Elyas Ashenafi, 大下 雅昭, 菅 哲朗: Mo及びTiを用いた低障壁化プラズモニックショットキー光検出 器による室温近赤外光検出, 第14回マイクロ・ナノ工学シンポジウム, 6P5-PN-55, November 6-9, 2023.
  7. 野口瑛矢, 金田裕喜, 大下雅昭, 斎藤史郎, 菅哲朗 : 表面プラズモン共鳴式光検出器を用いた分光法における応答性の定量検証, 第14回マイクロ・ナノ工学シンポジウム, 6P5-PN-31, November 6-9, 2023.
  8. 金田 裕喜, 齊藤 伊吹, 山岡 詩菜, 齋藤 史郎, 大下 雅昭, 菅 哲朗: サブミクロンピッチ回折格子を持つプラズモニック光検出器による連続的な波長光 源を用いた分光, 第40回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム, 6P5-PS-11, November 6-9, 2023.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:1件

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