利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.07.16】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UT1075

利用課題名 / Title

MEMS加工と3Dプリントのハイブリッドプロセスによるニードル型マイクロ酸素センサの作製および評価

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

センサ/ Sensor,スパッタリング/ Sputtering,ダイシング/ Dicing,光リソグラフィ/ Photolithgraphy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

新井 史人

所属名 / Affiliation

東京大学大学院工学系研究科 機械工学専攻

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

杉浦 広峻,能丸 純太朗,天谷 諭

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-505:レーザー直接描画装置 DWL66+2018
UT-711:LL式高密度汎用スパッタリング装置(2019)
UT-906:ブレードダイサー


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

オルガノイドの生体情報評価において、酸素濃度やpHなどの複数パラメーターの測定が必要とされている。従来のガラス加工を使用したニードル型センサーは、複数の化学種を同時に測定するために必要な針先の複雑な構造の作製が難しい。そのため、複雑な微細構造を製造できる3Dプリントと、フォトリソグラフィによる電極製造を組み合わせたハイブリッド製作プロセスを提案した。本研究では、ニードル型マイクロ酸素センサーを評価対象として提案プロセスを適用してデバイス作製および評価を行った。

実験 / Experimental

ニードル型マイクロ酸素センサのデザインをFigure 1に示す。電極を形成した基板に対して直接センサ構造体を3Dプリントすることが特徴である。電解液がセンサ構造体と基板間に満たされている。ニードル先端のPDMS製酸素透過膜を介して酸素がセンサ構造体内に拡散し、ニードル直下にある1辺が20 µm の正方形Au電極と参照電極兼対極としての銀塩化銀電極の間に流れる酸素濃度に比例する電流を計測する。センサの作製プロセスにはMEMS加工と3Dプリントのハイブリッドプロセスを適用した。1. フォトリソグラ フィにより電極作製、2. ダイシング、3. 電極基板へ直接3Dプリント、4. 3Dプリントされたニードル先端に酸素透過膜を形成、5.内部に電解液を注入した(Figure 2) 。基板への直接3Dプリントは、当研究室の先行研究と同様に実施した。酸素透過膜は、ヘプタンで希釈したPDMS溶液に対してニードル先端を浸漬し、毛管力によりPDMS溶液を導入した後、加熱して溶剤を揮発およびPDMSを硬化する事によって作製した。また、PDMSを溶媒で希釈することで、溶液の粘性はほぼ一定になるため、吸込量を一定にすることが可能となり、PDMS膜厚は希釈率によって制御できることを確認した。最後に電解液を注入後に封止してセンサを作製した。 

結果と考察 / Results and Discussion

作製したセンサをFigure 3に示す。プローブの先端径は50 µm、先端にPDMS膜を形成した。次に、作製したセンサを用いて酸素計測の実証実験を行った。センサのプローブ部を、亜硫酸ナトリウムを加え酸素を除去した純水に入れ電流値の安定を待った後、バブリングを3分間行った酸素を飽和させた純水に移し替えた。その結果、電流値が有意に増加し,酸素濃度に対する電流応答を確認した。さらに、オルガノイドに対してのプローブ刺入実験を行い、オルガノイド内部にプローブ先端が刺入できることを確認した。今後は、酸素透過膜の薄膜化やプローブ形状の改善によりセンサの応答性能の改善を図るとともに、プローブ先端外径を小さくすることによるオルガノイドへの侵襲性低減に取り組んで いく方針である。 

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Figure 1: Design concept of the needle-type oxigene microsensor.



Figure 2: Hybrid 3D micro-fabrication process of needle-type oxigene microsensor.



Figure 3: Photos of fabricated  Needle-type oxygen microsensor. (a) The fabricated electrodes on the substrate, (b) resin bodies directly 3D-printed on the aligned substrates, (c) side view of device and magnified view of probe.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

This work was supported by AMED under Grant Number JP21gm1210012 and partly by JSPS KAKENHI Grant Numbers JP23K04486 and "Advanced Research Infrastructure for Materials and Nanotechnology in Japan (ARIM)" of the Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT). Proposal Number JPMXP1223UT1075.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Juntaro Nomaru, Needle-Type Oxygen Microsensor Made by Hybrid 3D Microfabrication, 2024 IEEE 37th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems (MEMS), , 194-197(2024).
    DOI: 10.1109/MEMS58180.2024.10439499
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. J. Nomaru, T. Masuda, S. Amaya, S. Watanabe and F. Arai, "Needle-Type Oxygen Microsensor Made by Hybrid 3D Microfabrication," 2024 IEEE 37th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems (MEMS), Austin, TX, USA, 2024
  2. 能丸 純太朗, 益田 泰輔, 天谷 諭, 渡邉 史朗, 新井 史人, ”MEMS加工と3Dプリントのハイブリッドプロセスによる プローブ型マイクロ酸素センサの作製 ”, 第14回 マイクロ・ナノ工学シンポジウム(熊本), 2023年11月6-9日
  3. 能丸 純太朗, 益田 泰輔, 天谷 諭, 渡邉 史朗, 新井 史人, ”MEMS加工と3Dプリントのハイブリッドプロセスによるプローブ型マイクロセンサ”, ロボティクス・メカトロニクス 講演会 2023(名古屋), 2023年6月28-7月1日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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