【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.21】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23UT1052
利用課題名 / Title
量子センシングのためのマイクロ波アンテナ作製
利用した実施機関 / Support Institute
東京大学 / Tokyo Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed
キーワード / Keywords
窒素空孔、NV,光学顕微鏡/Optical microscopy,高周波デバイス/ High frequency device,リソグラフィ/Lithography,量子効果デバイス/ Quantum effect device,センサ/ Sensor,スピン制御/ Spin control,スパッタリング/ Sputtering,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,量子効果/ Quantum effect
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
小林 研介
所属名 / Affiliation
東京大学大学院理学系研究科物理学専攻
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
佐々木健人,小河健介,塚本萌太,西村俊亮,中村祐貴,山本航輝,顧豪,小林拓,須田涼太郎
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
UT-913:UVレーザープリント基板加工装置
UT-505:レーザー直接描画装置 DWL66+2018
UT-800:クリーンドラフト潤沢超純水付
UT-711:LL式高密度汎用スパッタリング装置(2019)
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
ダイヤモンド中の窒素空孔(NV: Nitrogen-Vacancy)中心の電子スピンは、光とマイクロ波によって量子操作が可能であり、高空間分解能かつ高感度な磁場計測に応用されている。この量子センサをイメージングに利用する際には、広範囲に広帯域なマイクロ波を照射可能なアンテナが必要である。我々は、武田先端知ビルのリソグラフィー設備を利用して、磁気イメージング用のアンテナの作製を行った。
実験 / Experimental
昨年度、空間分解能と集光率の高い、高NA(0.7)の対物レンズによる広視野測定ができるように、0.3 mm厚の基板にφ3 mmの開口を設けたアンテナデザインを決定した。装置に取り込んだ本アンテナデザイン上で複数コピーペーストすることで一度の実行で複数作製できるように編集し、パナソニック電工製銅箔FR4基板に加工した。また、超高圧ダイヤモンドアンビル用のストリップラインの試作やアルミナ銅箔基板の加工も試みた。
結果と考察 / Results and Discussion
作製したアンテナの写真を図1に示す。NV中心の共鳴周波数2.87 GHzに近い共鳴周波数を持ち、100MHz以上の広帯域な特性を有する開口付き薄型マイクロ波アンテナを8つ作製した[図1(a)]。他にも、アルミナ銅箔基板の銅箔除去やカット等の動作確認にも成功した[図1(b,c)]。ただし、長く細いコプレーナ導波路(中央導体幅200μm)を加工する際、加工位置の切り替わる継ぎ目部分においてカットが不完全な部分ができてしまう問題があった。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1 作製されたアンテナ (a) 共振器の複数同時作製、(b) アルミナ基板上のストリップラインと透過特性、(c) アルミナ基板上の小型コプレーナ導波路
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
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Hao Gu, Multi-frequency composite pulse sequences for sensitivity enhancement in hexagonal boron nitride quantum sensor, Applied Physics Express, 16, 055003(2023).
DOI: https://doi.org/10.35848/1882-0786/acd1d1
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Kento Sasaki, Demonstration of geometric diabatic control of quantum states, Physical Review A, 107, (2023).
DOI: https://doi.org/10.1103/physreva.107.053113
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Kento Sasaki, Magnetic field imaging by hBN quantum sensor nanoarray, Applied Physics Letters, 122, (2023).
DOI: https://doi.org/10.1063/5.0147072
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Shuji Ito, Optical-power-dependent Splitting of Magnetic Resonance in Nitrogen-vacancy Centers in Diamond, Journal of the Physical Society of Japan, 92, (2023).
DOI: https://doi.org/10.7566/jpsj.92.084701
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Kento Sasaki, Nitrogen isotope effects on boron vacancy quantum sensors in hexagonal boron nitride, Applied Physics Express, 16, 095003(2023).
DOI: https://doi.org/10.35848/1882-0786/acf7aa
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Shunsuke Nishimura, Wide-field quantitative magnetic imaging of superconducting vortices using perfectly aligned quantum sensors, Applied Physics Letters, 123, (2023).
DOI: https://doi.org/10.1063/5.0169521
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Kensuke Ogawa, Demonstration of highly sensitive wideband microwave sensing using ensemble nitrogen-vacancy centers, Applied Physics Letters, 123, (2023).
DOI: https://doi.org/10.1063/5.0175456
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- 塚本萌太, 顧豪, 中村祐貴, 中払周, 岩崎拓哉, 渡邊賢司, 谷口尚, 河口将志, 林将光, 佐々木健人, 小林研介, "hBN量子センサによる磁性体薄膜の磁気イメージング", 日本物理学会 第78回年次大会(2023年) 2023年9月16日
- 西村俊亮, 小林拓, 小河健介, 辻赳行, 岩崎孝之, 波多野睦子, 佐々木健人, 小林研介, "ダイヤモンド量子センサによる超伝導体量子渦の測定におけるパルス技術の適用", 日本物理学会 第78回年次大会(2023年) 2023年9月17日
- 佐々木健人, 中村祐貴, 顧豪, 塚本萌太, 中払周, 岩崎拓哉, 渡邊賢司, 谷口尚, 小川真一, 森田行則, 小林研介, "ナノ精度配置した量子センサによる磁場イメージング", 日本物理学会 第78回年次大会(2023年) 2023年9月18日
- 山本航輝, 塚本萌太, 佐々木健人, 小林研介, "ダイヤモンド量子センサによるマグネタイトの磁気ダイナミクスの観測", 日本物理学会 第78回年次大会(2023年) 2023年9月18日
- 須田涼太郎, 佐々木健人, 小林研介, 瓜生健心, 佐々木岬, 榮永茉利, 清水克哉, "高圧力下での量子計測の試み:圧力と磁場の可視化", 日本物理学会 第78回年次大会(2023年) 2023年9月18日
- 瓜生健心, 清水克哉, 須田涼太郎, 佐々木健人, 小林研介, "高圧力下での量子計測の試み:量子センサの導入", 日本物理学会 第78回年次大会(2023年) 2023年9月18日
- 小林拓, 西村俊亮, 小河健介, 辻赳行, 岩崎孝之, 波多野睦子, 佐々木健人, 小林研介, "ダイヤモンド量子センサを用いた微小超伝導体における量子渦の測定", 日本物理学会 第78回年次大会(2023年) 2023年9月18日
- 中村祐貴, 顧豪, 塚本萌太, 中払周, 岩崎拓哉, 渡邊賢司, 谷口尚, 佐々木健人, 小林研介, "電場と磁場の同時量子計測によるマルチフェロイクスの研究に向けて", 日本物理学会 第78回年次大会(2023年) 2023年9月18日
- 顧豪, 塚本萌太, 中村祐貴, 中払周, 岩崎拓哉, 渡邊賢司, 谷口尚, 小川真一, 森田行則, 佐々木健人, 小林研介, "ヘリウムイオン顕微鏡を用いたhBN中の量子センサの作製", 日本物理学会 第78回年次大会(2023年) 2023年9月19日
- 小河健介, 西村俊亮, 佐々木健人, 小林研介, "ダイヤモンド量子センサを用いた広帯域マイクロ波センシング", 日本物理学会 第78回年次大会(2023年) 2023年9月19日
- 佐々木健人, "六方晶窒化ホウ素中の色中心を用いた量子センシング", 第84回応用物理学会秋季学術講演会 2023年9月21日
- Kento Sasaki, "Development of quantum sensing techniques for condensed matter physics research", 12th Workshop on Semiconductor/Superconductor Quantum Coherence Effect and Quantum Information (SpinCamp2023) 2023年9月27日
- Kensuke Ogawa, Shunsuke Nishimura, Kento Sasaki, Kensuke Kobayashi, "Broadband microwave sensing using diamond quantum sensor", 12th Workshop on Semiconductor/Superconductor Quantum Coherence Effect and Quantum Information (SpinCamp2023) 2023年9月27日
- Moeta Tsukamoto, Hao Gu, Yuki Nakamura, Takuya Iwasaki, Shu Nakaharai, Kenji Watanabe, Takashi Taniguchi, Masashi Kawaguchi, Masamitsu Hayashi, Kento Sasaki, Kensuke Kobayashi, "Magnetic imaging of magnetic film using h-BN quantum sensor", 12th Workshop on Semiconductor/Superconductor Quantum Coherence Effect and Quantum Information (SpinCamp2023) 2023年9月28日
- 佐々木健人, "六方晶窒化ホウ素中の欠陥を用いた局所磁場計測", 一般社団法人ニューダイヤモンドフォーラム 2023年度第1回研究会 2023年10月3日
- 佐々木健人, "ダイヤモンドでミクロな世界を見る", 応用物理 92巻 11号 p.688-691 ホッとひといき 2023年11月1日
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件