利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.05.21】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23UT1031

利用課題名 / Title

カーボンナノチューブ構造制御に向けた成長素過程の速度論

利用した実施機関 / Support Institute

東京大学 / Tokyo Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

電子線リソグラフィ/ EB lithography,膜加工・エッチング/ Film processing/etching,光リソグラフィ/ Photolithgraphy,ナノチューブ/ Nanotube


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

丸山 茂夫

所属名 / Affiliation

東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

藤原隆二,大塚慶吾

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

UT-504:光リソグラフィ装置MA-6
UT-501:卓上アッシング装置
UT-500:高速大面積電子線描画装置
UT-900:ステルスダイサー


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

カーボンナノチューブ(CNT)はナノ炭素物質であり、そのカイラリティの違いにより半導体と金属のどちらかの性質を持つことが知られている。半導体CNTはキャリアの移動度の高さとともに、CNTの直径の小ささから短チャネル効果を抑制することができ[1]、次世代の半導体材料として期待されている。しかし、工業利用のためには99.9999%の半導体CNTの選択合成が必要であり、長年にわたり合成条件の選択による試行錯誤と生成物分析が行われてきたが、その水準には達することができていない。本研究では、従来の研究とは違いCNTの成長プロセスの詳細な解析から半導体CNTの選択合成への道を探ろうと考えている。CNTの成長速度への感度が高い、触媒への炭素源解離吸着過程に着目し[2]、実験により合成した個々のCNTを分析することで、半導体CNTと金属CNTの成長速度差を増加させる条件を導き出し、半導体CNTの合成比率の向上を目的とする。

実験 / Experimental

単結晶水晶基板に光リソグラフィと真空蒸着法を用い、ライン上に金属触媒を堆積させ、CVD(Chemical vapor deposition)装置によりCNTを成長させる。炭素源として2種類のエタノール(図1(a)の#1Cが13Cのものと#1,#2Cともに12Cのもの)を使用しており、交互に導入することで、CNTが12Cのみで成長する部分と12Cと13Cで成長する部分が交互に現れる。合成したCNTをSi基板に転写し、ラマン分光法により分析を行い、半導体CNTと金属CNTにおける#1Cと構成比率を調べる。ここから触媒上ついたCNTの種類によってエタノールの解離吸着反応にどのような違いがあり、成長速度へどのように影響を与えるかを議論する。

結果と考察 / Results and Discussion

図1(b)は合成したCNTのSEM画像であり、長さが~80μmほどであることが分かる。従来の合成と比べて、同程度の長さとなったため、合成自体は成功したと考えられる。図1(c)は実際に合成したCNTをラマン分光法により測定したものである。GバンドピークがシフトすることによりCNTを構成する13C比率を求めることができ、分析したCNTにおいては12%の13Cが挿入されているとわかる。今後、より詳細な分析を行うことで、半導体CNTと金属CNTの解離吸着反応の違いを調べていきたい。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1(a)本研究で用いたエタノール模式図, (b)CNTのSEM画像, (c)12Cエタノール(赤)と13C12Cエタノール(青)から成長した部分のCNTのラマンスペクトル


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] C. Qiu et al., Science 355, 271 (2017).  [2] K. Otsuka et al., ACS Nano 12, 5627 (2022). 


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 大塚慶吾、堀澤駿太、丸山茂夫、"個々の半導体および金属カーボンナノチューブ成長におけるエタノールの解離吸着反応," 第84回応用物理学会秋季学術講演会(熊本)、令和5年9月22日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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