利用報告書 / User's Reports


【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.06.25】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

23WS0151

利用課題名 / Title

マイクロ流体力学応用による化学反応制御

利用した実施機関 / Support Institute

早稲田大学 / Waseda Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

マイクロ流体、化学反応制御,MEMS/NEMSデバイス/ MEMS/NEMS device,μTAS,蒸着・成膜/ Vapor deposition/film formation,光リソグラフィ/ Photolithgraphy


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

古谷 正裕

所属名 / Affiliation

早稲田大学 先進理工学研究科 共同原子力専攻

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

WS-016:レーザー直接描画装置
WS-027:ダイシングソー


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

化学反応には、毒性の高い物質、希少性の高い物質や反応速度が極めて遅い物質など取り扱いが困難なものが存在する。その点、マイクロ流路を活用した化学反応では溶媒の使用量と発生する有害物質を抑えることができ、かつビーカーワークと比べて高速反応を実現可能な点から上記問題に対して有効な手段である。本研究では液滴流に基づいた化学反応を可視化できる「液滴合体装置」を開発し、実際の化学反応を観察することを目的とする。

実験 / Experimental

マイクロ流路の鋳型作製のために、ダイシングソーでSiウェハを角型に切断し、角型基板上に直接描画装置を用いて流路デザインをパターニングした。本実験で用いる流路を図1に示す。上流のDouble T-junctionでは2つの分散液の相互圧力によって交互に液滴を生成し、下流のDiamond Chamberでは流路幅の拡大と粘性差によって液滴を合体させる。また、本実験で観察する銅錯体(Ⅱ)の化学反応式を図2に示す。私用する流体は、連続液:シリコーンオイル(20 Pa・s)、分散液①:メタノール+配位子(5 mmol/L)、分散液②:メタノール+銅(Ⅱ)酢酸(5 mmol/L)である。

結果と考察 / Results and Discussion

分散相をそれぞれ 0.3 μL/min、連続相を2.0 μL/minで実験した結果を図3,4に示す。t=0 msは液滴の合体が始まる直前の時間を指している。Double T-Junctionで交互に生成された液滴は、Diamond shaped chamberにて液滴同士の衝突後に合体した。2液滴の接触部の曲率半径が極めて小さいことから膨大な張力が発生し、t=1 msには合体した液滴が楕円体となっている。t=10 msには液滴の中央に線状に沈殿が発生していることが確認された。これは、沈殿が2溶媒の界面近傍にて発生していることを示唆している。さらに、図4より、t = 10 msで発生した沈殿が液滴前方へ移動しており、t = 60 msには液滴後方に新たに沈殿面が発生していることが確認できた。これより、液滴の壁面付近では流れと同方向に、中心では逆方向への対流が発生していることが考察される。本研究によって、マイクロチャネルの液滴合体によって、反応速度をより高めることができたといえる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1 液滴合体流路の概要



図2 銅錯体(Ⅱ)の化学反応式



図3 交互列制御と液滴合体の全景写真



図4 液滴合体の拡大写真


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 村重友哉、"超撥水性傘型ピラーアレイデバイスを応用したサレン型亜鉛錯体の合成と反応過程のリアルタイム観察"、第40回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム、2023年11月6日
  2. 山中康平、"マイクロ液滴を用いたタンパク質の結晶成長制御"、第14回マイクロ・ナノ工学シンポジウム、2023年11月8日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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