【公開日:2024.07.25】【最終更新日:2024.02.28】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
23WS0003
利用課題名 / Title
ナノダイヤモンド中のNVセンターの電荷安定性に関する研究
利用した実施機関 / Support Institute
早稲田大学 / Waseda Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
内部利用(ARIM事業参画者)/Internal Use (by ARIM members)
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
ナノダイヤモンド、NVセンター、電荷安定性、電気化学計測,生体イメージング/ In vivo imaging,ALD
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
谷井 孝至
所属名 / Affiliation
早稲田大学 基幹理工学部 電子物理システム学科
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
臼井俊太郎、圖師拓海、山口陽大、野村涼太
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
星野勝美
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
ダイヤモンド中のNVセンターを温度計測、電界計測、量子計測(直流・交流磁場計測)に応用するには、NVセンターが一価の負電荷をもつ状態に維持させる必要がある。しかしながら、ナノダイヤモンドの場合、その内部にあるNVセンターの荷電状態は周囲の影響を受けやすく、容易に電荷のない状態、さらには一価の正電荷をもつ状態に変化しやすい。したがって、この荷電状態変化の微視的な描像を獲得する必要がある。私たちは、参考文献[1]にある透明導電性ITO膜をリン酸バッファ溶液中の動作電極とする電気化学セル(参照電極:Ag/AgCl)をレーザ走査型共焦点顕微鏡にセットアップして、ITO膜表面上のナノダイヤモンド中のNVセンターの荷電状態を蛍光スペクトルにより識別する測定系を構築した。このNVセンターの荷電状態変化がITO膜との電子の授受によるものか、はたまた、電界効果によるものであるかを実験的に検証するために、ITO膜表面に極薄アルミナ絶縁膜をALDにより成膜し、ITO膜に直接ナノダイヤモンドを散布したものと、ITO膜上のアルミナ表面にナノダイヤモンドを散布したものとの比較を行った。
実験 / Experimental
ITO膜は高温にすると導電性を失うため、ALDを用いて100℃で5nm厚のアルミナをITO膜に製膜した。この低温プロセスは2022年度に、同ALD装置を用いて、ポリカーボネート表面にアルミナを形成した際に用いた条件[2]を使用した。
結果と考察 / Results and Discussion
NVセンターの荷電状態は、ITO膜に直接ナノダイヤモンドを散布したもの、および、ITO膜上のアルミナ表面にナノダイヤモンドを散布したもののどちらの系でも、印加電圧にしたがって変化した。この詳細なメカニズムの理解については検討中であるが、少なくとも図1に示すように、5nm厚のITO膜は溶液に直接電気的に接触しておらず、溶液(したがって、NVセンター)との電荷の授受を妨げる絶縁膜として機能しており、電界効果によりNVセンターの荷電状態が変化したことを示している。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1リン酸バッファ溶液中のITO膜表面の蛍光ナノダイヤモンド(NVセンター)の共焦点像の時間変化(ALDによるアルミナ成膜有り).
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
[1] S. Karaveli et al, PNAS 113, 3038 (2016).[2] 芝田陸: ナノストロースタンピングによる直接物質導入の改良, ARIM 22WS0080 (2022).
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件