利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.04.27】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22WS0099

利用課題名 / Title

表面増強ラマン分光法を用いたステアリン酸-鉄摺動界面の解析

利用した実施機関 / Support Institute

早稲田大学 / Waseda Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

成膜, 形状・形態観察,赤外・可視・紫外分光/Infrared and UV and visible light spectroscopy,ALD


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

澤木 昴

所属名 / Affiliation

早稲田大学 先進理工学部 応用化学科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

吉田立樹

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

野崎義人,齋藤美紀子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術代行/Technology Substitution(副 / Sub),機器利用/Equipment Utilization


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

WS-004:原子層堆積装置
WS-020: 顕微ラマン分光装置


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

本検討は,潤滑剤に用いられる添加剤の一種であるステアリン酸が鉄表面においてどのような化学構造を形成し,どのように潤滑膜として作用するかを検証するために行われた.当研究室では,プラズモンセンサと呼ばれる,表面増強ラマン散乱(Surface-Enhanced Raman Scattering)を引き起こすための光学デバイスが開発されている.また,プラズモンセンサと測定試料を接触させ,摺動を引き起こすのと同時に,界面の化学構造を計測する手法が確立されている.プラズモンセンサ表面には銀ナノ粒子が成膜されており,これによってラマン散乱光が増強される.しかし,センサの摺動によって,成膜された銀ナノ粒子が剥離し,正常にラマン散乱光の増強がなされないことが考えられる.そこで,Atomic layer deposition (ALD)により,センサ表面に3 nm程度のアルミナ膜をコーティングすることで,摺動による銀ナノ粒子の剥離を防ぐプラズモンセンサが作製された.

実験 / Experimental

試料に対してアルミナが,Atomic Layer Deposition (ALD)により成膜された.成膜温度を200℃,サイクル数を24,ねらい膜厚を3 nmとして成膜が行われた.

結果と考察 / Results and Discussion

プラズモンセンサと測定試料を接触させ,センサと試料間で摺動を起こすことで,摩擦係数が測定された. Fig.1に,各温度におけるステアリン酸-鉄摺動界面の,SERSスペクトルの2階微分後のデータを示す.50℃以上において,1591-1593 cm-1で新たなピークが観測された.これは,界面で反応が起き形成されたステアリン酸鉄膜由来のものであると考えられる.また,各温度において摩擦係数を測定した結果,温度が上昇することで摩擦係数が減少する傾向が確認された.これら2つの結果から,ステアリン酸は50℃以上において鉄と反応してステアリン酸鉄と呼ばれる金属石鹸膜を形成し,これが試料間の直接的な接触を抑制して摩擦係数を減少させることにつながる,ということが示唆された.なお,摺動中のSERSスペクトルの測定は,今後の課題とする.

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1 各温度におけるステアリン酸-鉄界面のSERSスペクトルの2階微分


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

ALD成膜にご協力いただきました,ナノ・ライフ創新研究機構の野崎義人様に感謝申し上げます.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る