利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.12】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22HK0106

利用課題名 / Title

リソグラフィ技術を利用した微細構造の作製と機能性評価

利用した実施機関 / Support Institute

北海道大学 / Hokkaido Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)その他/Others

キーワード / Keywords

リソグラフィ/Lithography,スパッタリング/Sputtering,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

平井 悠司

所属名 / Affiliation

公立千歳科学技術大学 理工学部

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

松尾保孝

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),共同研究/Joint Research


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

HK-604:レーザー描画装置
HK-609:ヘリコンスパッタリング装置
HK-611:多元スパッタ装置
HK-606:マスクアライナ


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 摩擦は産業分野において、エネルギー消費や様々な部材の寿命に関わるなど、大きな課題となっている。一般的に無潤滑条件下の固体摩擦において、摩擦力は真実接触面積に依存するため、摩擦界面に微細構造を形成させて見かけ上の接触面積を減らしてたとしても、荷重の集中による界面の塑性変形によって荷重と真実接触面積が比例関係となるため、摩擦力は変化しないと言われている。一方でヘビやマダラシミなど体表が擦れる環境で生存している生物表面には微細構造があり、その微細構造も摩擦力に影響を与えていると考えられている。そこで塑性変形材料であり、産業応用も容易な金属を用いて微細構造を作製して摩擦力を測定、微細構造がどのように摩擦に影響するのか、また微細構造による摩擦力の制御可能性について研究を行った。

実験 / Experimental

電子線リソグラフィー・レーザーリソグラフィー技術により、フォトレジスト(SU-8)マイクロスケールの溝構造を作製、その微細構造をポリジメチルシロキサン(PDMS)、次いでホットプレスによりポリスチレン(PSt)、さらにPSt微細構造に金をスパッタ後、スパッタした金表面を陰極、ニッケルを陽極とした電気鋳造によって微細構造を転写していき、最終的にニッケルの微細溝構造を作製した。作製後のニッケル微細溝構造は表面に金が残存していたため、選択的金エッチング液(AURUM-302)にて金のみを除去した。作製した各段階での表面は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、ニッケルの微細溝構造の摩擦力を、直径10 mmのステンレス球を圧子とし、1 mm/s の速度で測定した。

結果と考察 / Results and Discussion

 SEMによる観察の結果、各転写段階においてきれいな微細溝構造が形成しており、最終的に金属であるニッケルの微細構造を得ることに成功した。ニッケル微小溝構造の摩擦力を測定した結果、溝に対して平行方向の摺動より、垂直方向に摺動させるほうが摩擦力が小さくなることが明らかとなった。一方、マイカを利用して作製したニッケルの平滑表面の摩擦力は、垂直方向の摩擦力よりは大きく、平行方向よりは小さい結果となった。摩擦測定後の表面を再度SEMによって観察すると、どの表面も大きく変形しているとともに、摩耗粉の堆積状態に違いが見られた。荷重の集中による変形の違いや摩耗粉の堆積具合によって摩擦力が変化することが示唆され、微小な溝構造は摩擦力に影響を与えることが明らかとなった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 島田 陽平, 平井 悠司, 下村 政嗣, 微小溝構造を有する金属表面の摺動方向における摩擦力異方性, 第71回高分子学会年次大会, オンライン, 2022年5月25日, 1P1E022
  2. 島田 陽平, 平井 悠司, 下村 政嗣, 周期的な金属微小溝構造の構造パラメータが摩擦力に与える影響, 札幌, 第71回高分子討論会, 2022年9月7日, 3Pd052
  3. Yohei Shimada, Yuji Hirai, Masatsugu Shimomura, Friction force measurements of the anisotropic metal microgroove structures, 徳島, MNC 2022, 2022年11月10日, 10P-3-19
  4. 島田 陽平, 平井 悠司, 下村 政嗣, 周期的な金属微小溝構造における摩擦挙動の解明, 第57回 高分子学会北海道支部研究発表会, 札幌, 2023年1月23日, P22
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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