【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.12】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22HK0099
利用課題名 / Title
原子層堆積法を用いた赤外光ファイバーセンサーへの機能性ナノ薄膜形成
利用した実施機関 / Support Institute
北海道大学 / Hokkaido Univ.
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-
キーワード / Keywords
ALD,原子薄膜/ Atomic thin film,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
上原 日和
所属名 / Affiliation
自然科学研究機構核融合科学研究所
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
合谷賢治,梶田信,Shi Quan
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
佐々木仁,中村圭祐
利用形態 / Support Type
(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
本研究では、赤外光ファイバーセンサーの社会実装を視野に、フッ化物ファイバーへの新規耐水コーティング技術を開発する。原子層堆積法(ALD: Atomic Layer Deposition)は、半導体分野において近年注目され始めている緻密成膜法であるが、これを光学分野にいち早く取り入れ、光ファイバーセンサーへのALD保護膜形成を世界に先駆けて実証する。
実験 / Experimental
代表者らは、赤外吸収分光と光ファイバーセンサーとを組み合わせた「赤外光ファイバーセンサー」に高い将来性を感じ、令和3年度より開発をスタートしており、最近、世界初のインライン型・赤外式フッ化物光ファイバーセンサーを実証した。その一方で、フッ化物ガラスは耐水性が低いことが実用化の障壁となっている。本研究では、従来課題を克服し得るALD法でのファイバー保護技術を新たに確立すべく、優れたALD技術を有する松尾氏との協働で研究を進める。
結果と考察 / Results and Discussion
令和4年度前期にかけて、金属酸化膜によるフッ化物ファイバーの耐候保護の検証をおこなった。貴拠点設備を利用してフッ化物ガラス光ファイバーセンサー上に金属酸化物(Al2O3、TiO2)を厚さ50 nmずつ積層し、電子顕微鏡観察と元素マッピングによって、ガラスファイバーの側面・端面・樹脂被覆部および被覆部との界面の全体に所望の膜が連続的にコーティングされていることを確認した。また、フッ化物のコアレス光ファイバーを温水に浸漬させながらプローブ光を導波させ、透過率の時間変化を測定する手法で加速劣化試験をおこない、ALDによる金属酸化膜の形成によって耐水性が飛躍的に向上することを実証した。さらに、液体センサー利用で重要となる親水性の制御にも成功した。これらの成果は、産業応用が大いに期待されるため、幣機構と北大、秋田県大との共同で特許出願をおこなった。 令和4年度の後期には、貴拠点に新たに導入されたプラズマALD装置を利用し、金属窒化物のALD成膜を試みた。令和5年2月には、本事業の助成で北大電子研を訪問し、光デバイスへの金属窒化膜の成膜を試みた。アンモニアや窒素を活性ガスに用いた、窒化アルミニウムや窒化チタン、窒化ケイ素などの成膜が可能な環境が整備されていることを確認した。来年度は、膜質の評価をもとに成膜プロセスを最適化するとともに、光ファイバー上への成膜を試み、デバイス耐候性の評価を行う予定である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
- Hiyori Uehara, Akira Mori, Shuya Noda, Yoshiaki Nishijima, Yasutaka Matsuo, Shigeki Tokita, Ryo Yasuhara, Kenji Goya, “Evanescent wave infrared sensing using a fluoride fiber,” The 13th Asia-Pacific Conference on Near-Field Optics (Jury 2022), Sapporo, Japan.、口頭
- Kenji Goya, Yoshiaki Nishijima, Shigeki Tokita, Ryo Yasuhara, and Hiyori Uehara, “Mid-IR Fiber Optic Sensing System Based on Fluoride Fiber Waveguide,” CLEO Pacific Rim 2022 (August 2022), Sapporo, Japan.、口頭
- 野田柊弥、森朗、杉本尚哉、上原日和、安原亮、西島喜明、時田茂樹、合谷賢治、「エバネッセント波を検出原理としたフッ化物ファイバーセンサーの研磨深さ最適化」、レーザー学会学術講演会第43回年次大会(2023年1月)、名古屋、ポスター
- 笹沼裕希、合谷賢治、上原日和、時田茂樹、「中赤外レーザーによるプラスチックファイバーの融着とその機械的特性」、レーザー学会学術講演会第43回年次大会(2023年1月)、名古屋、ポスター
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:1件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件