利用報告書 / User's Report

【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.28】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22TT0043

利用課題名 / Title

微細パターン転写による機能性表面の形成

利用した実施機関 / Support Institute

豊田工業大学

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)計測・分析/Advanced Characterization

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

膜加工・エッチング,形状・形態観察,バイオミメティクス,抗菌,機能性表面,リソグラフィ/Lithography


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

恩田 拓

所属名 / Affiliation

豊田工業大学大学院工学研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

福本由美子,中山幸子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub),技術補助/Technical Assistance


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

TT-005:マスクレス露光装置
TT-006:マスクアライナ装置
TT-007:レジスト処理(アッシング)装置
TT-018:非接触3次元表面形状・粗さ測定機
TT-015:デジタルマイクロスコープ群


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

研究室グループは、潜像付きのレジスト膜を巻き付けて貼り付ける方法で、圧延ロール面にマイクロテクスチャ微細パターンをフォトリソグラフィ加工できることを示した(口頭発表 [1])。応用は、効率的な光散乱パターンの形成であった。多点同時加工の長所を維持しつつ、従来と比べて、微細さと形状自由度が飛躍的に高まった。但し、圧延ロール鋼材に形状を刻むために、塩化第二鉄水溶液を使った等方性のウェットエッチングを使ったため、アスペクト比は0.1程度の浅い構造に留まった。これを、微細で深い(高い)高アスペクト比構造にて、硬質材料で作れるように改良する。実現すれば、機能性表面の魅力的な応用が広がる。ロータス効果で知られるハスの葉に似た撥水構造を創るなど、バイオミメティクス分野では、凹凸構造はアスペクト比1以上が求められることが多い。この加工には、レジスト膜の微細パターンを元に、めっき堆積法が良いことに気付いた。レジスト膜に覆われていない部分にめっきを堆積してから、レジスト膜を除去して硬質材料に替える方法である。レジスト膜厚まで高い構造が得られる。エッチングとは異なり、鋼の結晶粒が悪影響せず、スムーズな形状が得られ易い。このためにまず、アスペクト比1以上のレジスト膜構造を用意する実験を行った。

実験 / Experimental

米国Sharklet社が提唱する抗菌効果を持つ微細パターンを参考に、パターンをデザインした。サイズ20x40mm鏡面のSUS304平板で試作した。Fig. 1(a)は得られたパターンの光学顕微鏡像である。Fig. 1(b)にパターンの設計値を示す。緑色の矩形幅は共通して3μm、矩形間ギャップは2μmである。長さが3〜16μmに変化して並ぶことで、ダイアモンドパターンを構成する。パターニングは、水溶性ポリマー polyvinyl alcohol (PVA)上にフォトレジストを成膜し、マスクと平面状態で密着させて露光し、潜像を形成する。得られた膜をSUS304平板に貼付けて、PVAを溶解してから、現像した。2種のレジストにてパターン形状を比較した。

結果と考察 / Results and Discussion

2種のレジストで得たパターンを電子顕微鏡にて斜め観察した。Fig. 2(a)は、Merck社AZ1500レジスト38cPを回転数500rpmで10s、1000rpmで30sにて成膜したものである。露光はi線にてドーズ量350mJ/cm2で行った。膜厚は約4.2μmである。パターン幅は底で3.3-3.5μmである。残渣の無い明瞭なパターンが得られているが、厚み方向のプロファイルが斜面となっている。Fig. 2(b)は、東京応化工業社THMR-iP5700レジスト100cPを回転数500rpmで10s後、3000rpmで30sにて成膜したものである。露光ドーズは350mJ/cm2である。膜厚は約6.3μmである。プロファイルは、より垂直に近い。パターン幅は底で2.5μmである。露光量が多かった可能性はある。上面が平坦なのが印象的で、現像液による膜減りが少なく、成膜したときの上面のままに近いと考えられる。AZ1500は基本的にはg線レジストであるのに対し、THMR-iP5700はi線レジストであることが、差の原因と考えられる。次工程のめっき処理を施すにはTHMR-iP5700を選択した。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 (a) Photo of the functional pattern. 



Fig. 1 (b) Design size of the pattern. Unit is μm.



Fig. 2(a)AZ2_m008a 



Fig.2(b)THMR1_m005b


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究の一部は2021年度 天田財団助成 AF-2021013-B2 一般 研究開発助成の支援を受けた。 めっき堆積や圧延転写の結果については、以下に示す塑性加工学会にて発表予定である。


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Minoru SASAKI, Fine Patterning Method for Roll Surface Using Photolithography, Journal of the Japan Society for Technology of Plasticity, 60, 195-202(2019).
    DOI: https://doi.org/10.9773/sosei.60.195
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. [1] 恩田拓, 斉藤誠法, 熊谷慎也工, 佐々木実, “三次元フォトリソグラフィによる円筒面への微細抗菌パターン形成と圧延転写” 2023年度塑性加工春季講演会 (2023.6.10予定).
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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