利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.25】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22AT5048

利用課題名 / Title

発光寿命計測による極めて小さな逆系間交差速度定数の評価

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)革新的なエネルギー変換を可能とするマテリアル/Materials enabling innovative energy conversion

キーワード / Keywords

赤外・可視・紫外分光/Infrared and UV and visible light spectroscopy,太陽電池/ Solar cell,フォトニクス/ Photonics


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

古郡 美紀

所属名 / Affiliation

産業技術総合研究所

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-503:可視-近赤外過渡吸収分光装置 (VITA)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

熱活性型遅延蛍光(TADF)材料は次世代の有機EL材料として期待されている。TADF材料にとって最も重要なパラメータは、励起三重項状態から励起一重項状態へ遷移過程である逆系間交差である。本研究ではドナーアクセプター型の有機分子であるmeta(m-)-3CzBNの逆系間交差を発光寿命計測によって求めたところ、103 s-1とこれまでに知られた中でもっとも小さな逆系間交差の速度定数が評価できた。

実験 / Experimental

m-3CzBNの粉末をトルエン溶媒に溶解させて試料を調整した。窒素ガスにより溶液から酸素の脱気を行った後に可視-近赤外過渡吸収分光装置(VITA)を用いて発光時間プロファイルを測定した。励起光源にはNd:YAGレーザーの三倍波である波長355 nmのパルスレーザー光を用いた。発光時間プロファイルの回帰分析によって得られた発光寿命と発光量子収率から逆系間交差の速度定数を算出した

結果と考察 / Results and Discussion

m-3CzBN試料の発光ピーク波長420 nmで計測したTADFの発光寿命は292 マイクロ秒であった。これとTADFに対する蛍光の発光寿命、および二つの発光種の減衰指数関数を用いて回帰分析から求めたアンプリチュード比、そして発光量子収率から逆系間交差の速度定数を求めたところ1.5 x 103 s-1 の値が得られた。この値はこれまでに知られた中でもっとも小さな逆系間交差の速度定数の一つに当たる。このような小さな速度定数が発現する物理の解明はTADF材料の発光特性を操作する上で一つの知見になりえると考えられる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Minori Furukori, High-throughput transient photoluminescence spectrometer for deep learning of thermally activated delayed fluorescence materials, Journal of Materials Chemistry C, 11, 4357-4364(2023).
    DOI: 10.1039/D3TC00482A
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

印刷する
PAGE TOP
スマートフォン用ページで見る