利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.31】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22AT5035

利用課題名 / Title

固体NMRによるアガリクス由来β-グルカンの構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

産業技術総合研究所 / AIST

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials

キーワード / Keywords

核磁気共鳴/Nuclear magnetic resonance,核磁気共鳴/Nuclear magnetic resonance,スピン制御/ Spin control,生体イメージング/ In vivo imaging


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

小島 正樹

所属名 / Affiliation

東京薬科大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

松村義隆

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes

服部峰之,大沼恵美子

利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

AT-505:固体NMR装置 (SSNMR)


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

β-グルカンは真菌細胞壁の主要構成多糖である。よって、その組成や構造により真菌症のような病気に関連したり、抗腫瘍効果など健康増進にとって良好な作用を示したりなど、身近で重要な物質である。スエヒロタケ由来のβ-グルカンであるシゾフィランは、抗腫瘍作用を示すことから抗癌剤として認可され、水に溶けて3重らせん構造をとることがX線結晶構造解析により明らかにされており、様々な研究が行われている。一般にβ-グルカンは水に溶けにくく、また水溶液中のグルカンは揺らぎが大きいため、シゾフィランを除き、天然立体構造を分子レベルで実験観測することは非常に難しいと考えられる。固体高分解能NMRを用いたβ-グルカンの構造解析は、1980年代に300 MHzの装置により13Cについて行われているが、シゾフィランなど他のβ-グルカンは3量体か単量体の構造をとっていることが知られている。すでに、4mmのローターを使用して、アガリクス由来(Agaricus brasiliensis)β-グルカン 100mg程度の試料を8kHz、10kHzのMAS回転速度にて測定しているが、90ppm付近では、スピニングサイドバンド(SSB)との重なりが生じていた(図1.)。2.5mmのローターを使用して、30kHzの回転速度にて長時間積算することで、SSBをほぼ無視できるようなスペクトルの取得する。

実験 / Experimental

600 MHzでの13C高分解能スペクトル取得した。β-グルカンはアガリクス由来(Agaricus brasiliensis)のもの10mgで行った。サンプル量の減少とCP効率が低下して検出感度の問題が生じるが、2.5mmのローターを使用して、30kHzの回転速度にて8000回積算することで、SSBをほぼ無視できるようになり、スペクトルの改善が可能であることがわかった(図2.)。

結果と考察 / Results and Discussion

測定した13Cスペクトルからは、89±1 ppmに強いピーク、86±1 ppmに小さなピークが検出された。一次構造は、主鎖がβ-1,6結合で、その10%以下の側鎖がβ-1,3結合である(AgCAS)。β-グルカンは水溶液中で、多分散で3量体または、単量体として存在すること、分子の形状は球状で、β-1,6結合の主軸とβ-1,3結合の側鎖(10%以下)から成ることを支持する結果が得られている。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


図1. 13C固体NMRスペクトル(90ppm 付近の拡大図) :89±1 ppm(単量体らせん)にピークがあり、わずかで確認しにくいが86±1 ppm(三量体らせん)にもある。



図2. 2.5mmローターを用いて得た、13C CP/MAS スペクトル


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 松村義隆, 井上広大, 墨野倉誠, 久保美香子, 出村茉莉子, 市岡隆幸, 森本康幹, 田代充, 石橋健一, 大野尚仁, 服部峰之, 小島正樹, "物理化学的手法と計算シミュレーションによるアガリクス由来β-グルカンの立体構造観測", 第31回日本バイオイメージング学会学術集会 (大阪), 2022年9月3日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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