【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.31】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22AT5034
利用課題名 / Title
ヨウ化銅の127I MAS固体NMR測定
利用した実施機関 / Support Institute
産業技術総合研究所 / AIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies
キーワード / Keywords
核磁気共鳴/Nuclear magnetic resonance,核磁気共鳴/Nuclear magnetic resonance,スピン制御/ Spin control,資源代替技術/ Resource alternative technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
淺野間 文夫
所属名 / Affiliation
奈良先端科学技術大学院大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
服部峰之,大沼恵美子
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
講義で事前学習したMAS法を含めた測定原理の基本事項を実際の測定実習で確認する事にした。自大学では、アダマンタンを用いてMAS速度が1H,13Cのスペクトルに与える影響についてはこれまで体感したことはあったが、四極子核については体感したことが無かったため大変興味があった。今回の測定では、ヨウ化銅中の四極子核であるヨウ素(127I)について固体NMR測定を行った。
実験 / Experimental
1.ヨウ化銅(目的試料)およびヨウ化カリウム(外部標準用試料)が封入されている4㎜試料菅をそれぞれ用意した 2.ブルーカー社製600MHz NMRに4㎜用プローブを装着した 3.ヨウ化カリウムの試料菅を導入部にセットしプローブ内にロードした 4.MAS速度を0kHzでチューニングおよび測定し、ピークトップを※-168.7ppmに合わせ、外部標準とした ※産総研の固体NMRスペクトルデータベース(SSNMR_SD)参照 5.試料菅をヨウ化カリウムからヨウ化銅へ交換した 6.MAS速度を3.5kHzでチューニングおよび測定を行った 7.MAS速度を3.5→4→6→7→8→9→10→11→12kHzのように変化させながらチューニングおよび測定を繰り返した
結果と考察 / Results and Discussion
初めに、図1にMAS速度を上から3.5→4→6→7 →8→9→10→11→12kHzに変化させたときのスペクトルを示す。また自大学のNMRは日本電子製のみとなっているため解析ソフトはDelta6.0(日本電子製)を用いて行った。またピークの半値幅についてもDeltaソフトのHalf Widthコマンドを用いて自動算出した。またMAS速度を変化させたときの127Iのケミカルシフト値をおよび半値幅を表1.にまとめた。MAS速度 [kHz] ケミカルシフト値 [ppm] 半値幅 [Hz] 3.5 8.73 1458 4.0 8.73 1444 6.0 10.66 1503 7.0 11.39 1557 8.0 12.36 1584 9.0 13.81 1652 10.0 15.02 1696 11.0 16.95 1796 12.0 19.37 1940 MAS速度が大きくなるにつれケミカルシフト値が大きくなることが分かった。MAS速度の変化によって四極子相互作用が変化し、ピーク形状が変わることでピークトップのケミカルシフトが大きくなった可能性があると思われるが、MAS速度の上昇と共に試料温度が上昇し、それによるピークシフトも一要因であると思われる。実際に試料が高速回転している状態での温度測定は不可能なため、例えば温度によるケミカルシフトの変化が顕著なリファレンス試料を一緒に測定し、温度の推測が可能か今後検討してみたい。また、半値幅に関してはMAS速度の上昇に伴い各種相互作用が減少し、分解能が良くなり半値幅は小さくなると予測していたが、逆に大きくなる傾向を示した。これはMAS速度の上昇に伴う試料温度の変化が影響を与えているかまたはMAS速度と四極子相互作用の関係が影響していると思われる。もし後者であれば今後、四極子相互作用を追求していく上で大変興味深い結果である。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1.MAS速度とスペクトルの関係
表1. MAS速度とケミカルシフト値 および半値幅の関係
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
令和4年度 技術スタッフ交流プログラム QE-6 固体NMR計測・解析技術、実施期間:11月16日~11月18日、参考書籍 : 多核種の溶液および固体NMR 錯体化学会選書4 北川 進・水野 元博・前川 雅彦
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件