【公開日:2023.07.28】【最終更新日:2023.05.31】
課題データ / Project Data
課題番号 / Project Issue Number
22AT5033
利用課題名 / Title
有機化合物結晶の1H,13C固体NMR測定
利用した実施機関 / Support Institute
産業技術総合研究所 / AIST
機関外・機関内の利用 / External or Internal Use
外部利用/External Use
技術領域 / Technology Area
【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)計測・分析/Advanced Characterization(副 / Sub)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis
【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies
キーワード / Keywords
核磁気共鳴/Nuclear magnetic resonance,核磁気共鳴/Nuclear magnetic resonance,スピン制御/ Spin control,資源代替技術/ Resource alternative technology
利用者と利用形態 / User and Support Type
利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)
淺野間 文夫
所属名 / Affiliation
奈良先端科学技術大学院大学
共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
服部峰之,大沼恵美子
利用形態 / Support Type
(主 / Main)技術補助/Technical Assistance(副 / Sub)-
利用した主な設備 / Equipment Used in This Project
報告書データ / Report
概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)
NMRの基本的な理論および原理をはじめ、各測定法の特徴について調べた、固体NMRスペクトルが広幅化の原因となる各種相互作用について検討した。またこれらの相互作用を低減化し、スペクトルを先鋭化するための測定技術およびスペクトルから原理的に得られる情報についても検討した。MAS法による効果を確認するため、アダマンタンを用いてMAS速度を変化させながら測定し、比較検討を行った。また官能基等によって運動性に違いがあるが、DD-MAS 法およびCP-MAS 法を使い分けることによって運動性の大小を知ることが出来るか確認を行った。
実験 / Experimental
各測定について以下の大まかな流れに従って測定を行った。 1.目的の試料が封入されている試料菅を用意した。 2.ブルーカー社製NMRに試料菅径に対応するプローブを装着した。 3.試料菅を試料導入部にセットしエアー操作でプローブ内にロードした。 4.MAS速度を目的の速度に設定し、チューニングを行った。 5.目的の測定法を選択し、測定条件を設定した。 6.ケミカルシフトが※既知のピークを用い外部標準を適用した。 ※産総研の固体NMRスペクトルデータベース(SSNMR_SD)参照 MAS速度等を変化させながら以上の操作を繰り返した。
結果と考察 / Results and Discussion
1)アダマンタンを用いてMAS速度を0→2→3→4→5kHzのように変化させながら1H 測定を行った。図1に上から順に0→2→3→4→5kHzでMAS速度を変化させたスペクトルを示す。静止状態(0kHz)では1H の強い双極子相互作用により、非常に広幅となり、構造情報を得ることが非常に難しいスペクトルとなった。以降2→3→4→5kHzとMAS速度が上昇するにつれピークが先鋭化され、スピニングサイドバンドもはっきり見えるようになった。またピーク中心からスピニングサイドバンドまでの距離(kHz)は、MAS速度(kHz)と一致することが再確認できた。運動性が制限される固体試料測定では化学シフト異方性(溶液試料では速い分子運動により平均化・先鋭化)、双極子相互作用等により分解能が著しく低下する。MAS法を利用することで等方平均化され鋭いピークが得られた。2)GlycineおよびL-alpha-alanineを用いてそれぞれについてDD-MAS 13C 測定およびCP-MAS 13C 測定を行った。図2に上から順にGlycine (DD-MAS), Glycine (CP-MAS), L-alpha-alanine(DD-MAS), L-alpha-alanine(CP-MAS)のスペクトルを示す。また積分値はカルボキシ基を基準(1.0)とした。GlycineおよびL-alpha-alanineともに相対的にDD-MASよりCP-MASの方がカルボキシ基の積分値が大きくなっていることが分かる。またL-alpha-alanineについては相対的にCP-MASよりDD-MASの方がメチル基がメチレン基より積分値の増加割合が高いことが分かる。以上より座学講義で学習したようにDD-MASでは運動性の高い官能基(メチル基)のピーク強度が相対的に大きくなり、CP-MASでは運動性の低い官能基(カルボキシ基)のピーク強度が相対的に小さくなることが確認できた。
図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
図1. MAS速度とアダマンタン1H スペクトル
図2. GlycineおよびL-alpha-alanineのDD-MAS 測定およびCP-MAS 測定のスペクトル
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)
令和4年度 技術スタッフ交流プログラム QE-6 固体NMR計測・解析技術、実施期間:11月16日~11月18日、参考書籍 : 多核種の溶液および固体NMR 錯体化学会選書4 北川 進・水野 元博・前川 雅彦
成果発表・成果利用 / Publication and Patents
論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
特許 / Patents
特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件