利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.08】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22GA0008

利用課題名 / Title

光半導体ガリウム砒素への強磁性ライン埋込み構造の作製と評価

利用した実施機関 / Support Institute

香川大学 / Kagawa Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

内部利用(ARIM事業参画者以外)/Internal Use (by non ARIM members)

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)高度なデバイス機能の発現を可能とするマテリアル/Materials allowing high-level device functions to be performed(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

リソグラフィ・露光・描画装置,GaAs基板,Fe薄膜,化合物半導体,スピントロニクス素子・物質


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

宮川 勇人

所属名 / Affiliation

香川大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

竹村知晃,文谷公亮

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

GA-001:電子線描画装置
GA-002:マスクレス露光装置
GA-003:スピンコータ-


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

金属磁性体であるFe(鉄)と光・電気特性に優れた半導体のGaAs(ガリウムひ素)は結晶の格子定数の相違が1.4 %と大変小さく、Feを金属薄膜としてGaAs半導体結晶に整合させて埋め込むことでスピンキャリアを用いた3次元回路の実現や、電流によるスピン偏極の制御などの応用が狙える[1][2]。本研究の目的は、半導体GaAs内に強磁性Feの薄膜パタン構造を埋め込んだハイブリット構造の作製方法を確立し、磁化特性および結晶構造、格子整合性について評価することである。ARIMにおいて形成した種々のパタンレジストを用い、Fe膜の形成ならびGaAs結晶への埋め込み構造を作製・評価した。

実験 / Experimental

【利用した主な装置】
マスクレス露光装置(大日本科研社製、MX-1204)、電子線描画装置(エリオニクス製、ELS-7500EX)

【実験方法】
ARIMにおける支援のもと上記装置を用いたUV露光法によりGaAs(001)基板上に数 µm~数十 µmサイズの有機マスクのパタン描画を行った。次に香川大学創造工学部にてMBE(molecular beam epitaxy)チャンバー内にてArイオンエッチングを施工することで基板表面の酸化膜を除去後Fe埋込のための凹部を形成し、EBガンによって基板表面にFe膜を数 nmスパッタ蒸着した。MBEチャンバーから取り出した後、マスクのリフトオフを行い、さらに酸化膜を除去後、表層上にGaAs(約1 µm)を成膜することでFe埋め込み構造を形成した。

結果と考察 / Results and Discussion

レジストパターンとして、幾つかの幅を有するライン形状(Line&Width=2&2、 5&5、 10&10 単位 µm)について作製を試みた。Fe蒸着後リフトオフすることで磁性体パタン薄膜を形成した後、その上からGaAs結晶成長を行い埋込み構造とした。ラインパターンについての埋込み後のGaAs表面のSEM観察を行ったところ、Fig. 1(a)に示すようにGaAsの成長温度(蒸着時基板温度)がおよそ500℃以上の通常成長温度においては埋込みラインの上層表面にナノワイヤーの成長跡が無数にみられた。これはラインパターンとして形成されたFe膜へGa、 As原子が優先的に取り込まれることでFe膜直下でのGaAs結晶成長が促進された結果と思われる。一方GaAs成長温度が400℃以下の低温の場合にはFig.1(b)に見られるように、平坦な埋込み成長に成功していることがわかった。この結果は断面TEM観察によっても確認できた。今後、Siドープを同時に行った構造の試作と評価を行うことで、電気特性を制御したデバイス材料の作製条件を決定できるものと思われる。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig. 1 SEM images of the surfaces of fabricated Fe-embedded GaAs crystal, where (a) GaAs is grown at 560 degree C, and (b) less than 400 degree C.


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

・参考文献
[1] H. Miyagawa, Journal of Crystal Growth 311 (2009) 2143–2146, “Structure and magnetic properties of Gd/Fe layers grown by MBE”
[2] S. Hirose, Journal of Vacuum Science & Technology B 18 (2000) 1397-1401, “Electronic structure, growth, and structural and magnetic properties of magnetic semiconductor Fe/GaAs heterostructures”


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 竹村知晃、宮川勇人、「半導体 GaAs 内埋め込み磁性薄膜ラインパターンの作製と評価」 先端工学研究発表会2023(香川大学創造工学部主催) 令和5年1月30日、若手研究者ポスターセッションNo.18
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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