利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.08】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22GA0002

利用課題名 / Title

プラズモン励起を利用し機能性を向上させた光素子の開拓

利用した実施機関 / Support Institute

香川大学 / Kagawa Univ.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)加工・デバイスプロセス/Nanofabrication(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)-

キーワード / Keywords

リソグラフィ・露光・描画装置,膜加工・エッチング,プラズモニック構造,光伝導アンテナ,光結合,フォトニクス・プラズモニクス,貴金属系合金


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

原口 雅宣

所属名 / Affiliation

徳島大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

岡崎成吾,和泉建哉

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

GA-001:電子線描画装置
GA-002:マスクレス露光装置
GA-003:スピンコータ-


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

プラズモン励起を利用して機能性を向上させた光素子実現に向け以下の2つに取り組んだ。(1)電子線描画装置(エリオニクス社製、ELS-7500EX)(以下EB)を利用してプラズモン導波路に光結合するSi導波路作製、(2)励起光に対してプラズモン増強をもつ構造を組み込んだTHz発生用の光伝導アンテナ構造の作製を行った。この基本構造となるボウタイ型アンテナ作製のため、香川大学のマスクレス露光装置(大日本科研社製、MX-1204)を利用して微細加工を行った。

実験 / Experimental

(1)のサブテーマについて:香川大学の設備を利用しSOI基板上に電子線レジスト(ZEP520A)をスピンコーター(ミカサ社製、1H-DX2)を用いて成膜したものにEBで線幅500 nm から200 nmに徐々に細くなる長さ7 mm程度のテーパー細線のパターニングを行った。現像後、光学顕微鏡観察によりパターンを確認した。その後、徳島大学に持ち帰りドライエッチングプロセスなどを行い、Si細線導波路構造を形成し光伝搬を確認した。さらに徳島大学の設備を用いて、金属薄膜に空隙を設けたプラズモン導波路構造をSi細線導波路に光結合するように作製した。この構造に対して光伝播を試みた。(2)のサブテーマについて:香川大学の設備を利用し半絶縁性GaAs基板上にポジ型レジストofpr800 lb(23 cP)をスピンコーターを用いて成膜し、マスクレス露光装置でボウタイ型のパターニングを行った。露光後、現像を行い、純水でリンスした。その後、本学に持ち帰り金/ゲルマニウム合金の蒸着とリフトオフを行い、金属ボウタイ構造を作製し光導電電流特性評価を行った。

結果と考察 / Results and Discussion

(1)のサブテーマについて:Fig.1に現像後の光学顕微鏡像の(a)明視野と(b)暗視野をそれぞれ示す。Si細線導波路パターンが描画された付近に、一片50 mmの正方形の目印を配置したが、Fig.1の場合は図中左上の四角形の角が丸みを帯びておりオーバードーズが確認できた。また、暗視野像にはゴミと思われる微小な白い物体がみられるが、作業習熟度が上がった後にはプロセスで問題になることはなかった。導波路形成プロセス終了後に電子顕微鏡により確認したところ、導波路幅が500 nmから200 nmに徐々に細くなるSi細線導波路が形成されていることを確認した。9本の導波路のうち4本は導波路の始端から終端付近までの光伝搬の確認ができた。残りは導波路が途中で切れたり、何らかの構造体が導波路上に存在するなどの欠陥があり、光伝搬が確認できなかった。当初の目的であるプラズモン導波路との光結合については、動作の定量評価に至っていない。
(2)のサブテーマについて:Fig.2に、アンテナ構造を形成後に電子顕微鏡で観察したSEM像を示す。Fig.2 (a)は、ボウタイ型アンテナの金属構造のみの試料のSEM像である。幅6 µmのギャップを挟み、左右にAuとGeの合金のアンテナパターンが向かい合っており、中央部はGaAsが見えている。図中の白の破線で囲まれたエッジの部分は本来直線的である必要があるが、丸みを帯びている。これは露光量がオーバーしたために生じている。作製した構造について、光伝導アンテナとして動作しているか確認のため、左右の金属に電位差を持たせ、ギャップ部分(写真中央部分)に波長750 nmの光を照射したところ光伝導電流が現れた。光伝導アンテナとしての基本動作を確認できた。Fig.2(b)は、幅0.75 µmのギャップを持つアンテナに収束イオンビーム(FIB)加工によりグレーティングを形成したギャップ部分のSEM像である。FIB加工は徳島大学で行った。この構造の光伝導アンテナとしての動作測定は今後実施予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations


Fig.1 光学顕微鏡によるSi細線導波路パターン ((a) は明視野像、(b)は暗視野像)



Fig.2 ボウタイアンテナのギャップ付近のSEM像


その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

本研究は,科学研究費補助金,基盤研究(C) 20K04629,総務省 SCOPE 令和4年度電波有効利用促進型研究開発 「レーザーカオスによるTHz波のための高効率光伝導アンテナの研究開発」,内閣府 地方大学・地域産業創生事業 徳島県「次世代“光”創出・応用による産業振興・若者雇用創出計画」による支援を受けた.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. ・原口 雅宣、和泉 建哉、岡本 敏弘、山口 堅三、桑島 史欣、谷 正彦、“局在プラズモンアシストTHz用光伝導アンテナの開発” レーザー学会学術講演会 第43回年次大会、令和5年1月20日
  2. ・岡崎成吾、東野直人、塚本真彩、岡本敏弘、山口堅三、原口雅宣、 “テーパー構造を含んだSi導波路の作製” 次世代光フォーラム 2023 in 徳島、令和5年2月4日
  3. ・和泉建哉、岡本敏弘、山口堅三、直井美貴、高島祐介、谷正彦、桑島史欣、守安毅、原口雅宣、”ナノ構造を搭載したボウタイ型アンテナの作製” 次世代光フォーラム 2023 in 徳島,令和5年2月4日
  4. ・和泉建哉、岡本敏弘、山口堅三、直井美貴、高島祐介、谷正彦、桑島史欣、守安毅、原口雅宣、”ボウタイ型プラズモンアンテナの作製” 第70回応用物理学会 春季学術講演会,令和5年3月15日
  5. ・岡崎成吾、東野直人、塚本真彩、岡本敏弘、山口堅三、原口雅宣、“Si導波路とプラズモニック導波路の低損失結合に関する研究” 第70回応用物理学会 春季学術講演会、令和5年3月17日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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