利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.07.31】【最終更新日:2023.04.29】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22MS1092

利用課題名 / Title

巨大中空錯体に内包されたタンパク質の構造解析

利用した実施機関 / Support Institute

自然科学研究機構 分子科学研究所 / IMS

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)次世代バイオマテリアル/Next-generation biomaterials(副 / Sub)次世代ナノスケールマテリアル/Next-generation nanoscale materials

キーワード / Keywords

タンパク質, 自己組織化錯体, 構造解析


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

中間 貴寛

所属名 / Affiliation

東京大学大学院工学系研究科

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes

小野寺 悠太

ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)機器利用/Equipment Utilization(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

MS-224:MALDI-TOF質量分析


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

有機配位子と金属イオンの自己組織化で形成される巨大中空錯体に内包されたタンパク質の構造を解析する。錯体内部に捕捉することで従来では観測が困難なタンパク質の構造を解析することを目指す。特に過渡的なタンパク質の構造を錯体へ閉じ込めることで、その未踏構造を解明できることを実証する。

実験 / Experimental

タンパク質の錯体への内包にあたり、配位子とタンパク質の縮合体の同定にマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI-MS)を測定した。

結果と考察 / Results and Discussion

新規のタンパク質包接手法を検討し、その中間体として得られたタンパク質―配位子縮合体のMALDI-MS分析による同定を行った。これまでに報告した2-ホルミルピリジル基を用いた縮合法[1]は、天然タンパク質の包接ができるものの、過剰の配位子との混合を必要としていた。今回は、2-シアノベンズチアゾール基とN末端システインの選択的な縮合反応を用いてタンパク質の包接を試みた。N末端にシステインを導入したアミロイドβタンパク質との縮合を行ったところ、2-シアノベンズチアゾール基を導入した配位子1当量と9割以上の収率で反応が進行した。得られた生成物をMALDI-MSにかけたところ、確かに生成物が同定された。加えてアミロイドβ断片2分子を接合した配位子の同定もMALDI-MSにより達成された。今後は、新たな包接手法を用いたタンパク質とリガンド相互作用の解析などを行っていく予定である。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)

[1] D. Fujita, R. Suzuki, Y. Fujii, M. Yamada, T. Nakama, A. Matsugami, F. Hayashi, J.-K. Weng, M. Yagi-Utsumi, M. Fujita, Chem 20217, 2672–2683.


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
  1. Takahiro Nakama, Hysteresis behavior in the unfolding/refolding processes of a protein trapped in metallo-cages, Chemical Science, 14, 2910-2914(2023).
    DOI: 10.1039/D2SC05879K
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 1) 中間貴寛, 竹内絵里奈, 矢木真穂, 藤田大士, 加藤晃一,藤田誠,“M12L24中空錯体への包接によるアミロイドβ凝集会合構造の観測” 第19回 ホスト-ゲスト・超分子化学シンポジウム, 令和4年6月17日
  2. 2) 中間貴寛,藤田誠,"Confinement of unfolding and refolding proteins in an M12L24 coordination cage" The Asian Conference on Coordination Chemistry 8 (ACCC8),令和4年8月8日
  3. 3) 海老原梨沙,中間貴寛,矢木真穂,藤田大士,藤田誠,"Enzyme reactions within a confined space of M12L24 spherical complexes" 錯体化学会第72回討論会,令和4年9月26日
  4. 4) 田所美璃,中間貴寛,藤田誠,“自己集合球状錯体への共包接によるタンパク質-糖鎖の弱い相互作用の誘起” 第16回バイオ関連化学シンポジウム, 令和4年9月12日
  5. 5) Anouk Rossen,中間貴寛,矢木真穂, 藤田大士, 加藤晃一,藤田誠,“NMR analysis of transient unfolding/refolding protein structures by encapsulation in a self-assembled cage” 第16回バイオ関連化学シンポジウム, 令和4年9月12日
  6. 6) 小野寺悠太,中間貴寛,矢木真穂, 藤田大士, 加藤晃一,藤田誠,“自己集合球状錯体に包接したアミロイドβ 疎水性断片二量体のNMR 構造解析” 日本化学会 第103春季年会, 令和5年3月22日
  7. 7) 舟見進吾,中間貴寛,藤田誠,“M12L24巨大球状錯体に包接されたタンパク質の結晶化” 日本化学会 第103春季年会, 令和5年3月22日
  8. 8) 海老原梨沙,中間貴寛,藤田誠,“巨大中空錯体に包接された酵素の基質特異性” 日本化学会 第103春季年会, 令和5年3月22日
  9. 9) Anouk Rossen,中間貴寛,矢木真穂, 藤田大士, 加藤晃一,藤田誠,““NMR Observation of Hysteretic Behaviour in Solvent-Induced Protein Unfolding/Refolding Processes via Encapsulation in a Coordination Cage” 日本化学会 第103春季年会, 令和5年3月24日
  10. 10) 田所美璃,中間貴寛,藤田誠,“巨大中空錯体への閉じ込めにより誘起されたタンパク質-糖鎖の弱い相互作用の評価” 日本化学会 第103春季年会, 令和5年3月24日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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