利用報告書 / User's Reports


【公開日:2023.08.01】【最終更新日:2023.05.08】

課題データ / Project Data

課題番号 / Project Issue Number

22NI0601

利用課題名 / Title

Zn添加CuInS2ナノ粒子の合成と光学特性評価

利用した実施機関 / Support Institute

名古屋工業大学 / Nagoya Tech.

機関外・機関内の利用 / External or Internal Use

外部利用/External Use

技術領域 / Technology Area

【横断技術領域 / Cross-Technology Area】(主 / Main)物質・材料合成プロセス/Molecule & Material Synthesis(副 / Sub)-

【重要技術領域 / Important Technology Area】(主 / Main)量子・電子制御により革新的な機能を発現するマテリアル/Materials using quantum and electronic control to perform innovative functions(副 / Sub)マテリアルの高度循環のための技術/Advanced materials recycling technologies

キーワード / Keywords

Chalcopyrite, Nanoparticle,フォトニクス/ Photonics,量子効果/ Quantum effect,資源代替技術/ Resource alternative technology,表面・界面・粒界制御/ Surface/interface/grain boundary control


利用者と利用形態 / User and Support Type

利用者名(課題申請者)/ User Name (Project Applicant)

葛谷 俊博

所属名 / Affiliation

室蘭工業大学

共同利用者氏名 / Names of Collaborators in Other Institutes Than Hub and Spoke Institutes
ARIM実施機関支援担当者 / Names of Collaborators in The Hub and Spoke Institutes
利用形態 / Support Type

(主 / Main)共同研究/Joint Research(副 / Sub)-


利用した主な設備 / Equipment Used in This Project

NI-006:UV/VIS/NIR分光光度計


報告書データ / Report

概要(目的・用途・実施内容)/ Abstract (Aim, Use Applications and Contents)

 カルコパイライトナノ粒子は、Cdフリーの発光材料として注目を集めているが、Cdカルコゲナイドナノ粒子に匹敵する発光特性を示す多元系ナノ粒子を得ることは困難であった。近年ではAgInS2ナノ粒子の表面を無機物やリン配位子で被覆することで、バンド間発光を示す多元系ナノ粒子の合成が報告されるようになってきた。本研究ではワイドバンドギャップ物質であるZnSによりCuInS2ナノ粒子表面をコートしたコアシェル型ナノ粒子の合成を試みる。表面の欠陥をパッシベーションすることで優れた発光効率を持つCuInS₂ナノ粒子の合成が可能か検討を行った。

実験 / Experimental

 酢酸インジウム[In(CH₃COO)₃]、酢酸銅[Cu(CH₃COO)₂]、ドデカンチオールをトリオクチルアミン[TOCA]溶媒中で混合、230℃で2時間加熱した。この混合溶液を一度室温まで冷却したのちエチルヘキサ酸亜鉛(EH-Zn)を加え、210℃、30分で再度加熱した。ナノ粒子の分離は、反応後の溶液に貧溶媒となるエタノールを加えて遠心分離を行い有機溶剤や未反応物を除去した。

結果と考察 / Results and Discussion

合成したナノ粒子のXRDパターンはカルコパイライト型CuInS2に一致し、CuInS2/ZnS仕込み比が変化してもピークパターンに大きな変化は見られなかった。デバイシェラーの式により結晶サイズを見積もったところ、コアとなるCuInS₂は2.3nm、CuInS₂/ZnS=1で2.5nm、1/3で2.7nmであった。TEM-EDXで組成を分析したところ、CuInS2のCu/In比は1.2程度であった。CuInS₂/ZnS=1/3でCu/In比は2.4と大きくなり、InとZnの置換が一部起こっていることを示唆している。光学バンドギャップを可視紫外近赤外分光光度計により評価したた結果、コアとなるCuInS2ナノ粒子は1.8 eV程度でありZnの割合が増加するとともに2.0 eV(CuInS₂/ZnS=1/3)まで増加した。サイクリックボルタンメトリーにより測定した結果、CuInS2ナノ粒子では1.5eV、コアシェルナノ粒子で2.0 eV(CuInS₂/ZnS=1/3)となった。これらのナノ粒子の発光特性を測定したところZn添加により吸収スペクトルはあまり変化しないが、発光強度が著しく増加した。また、発光の減衰過程を調べたとこZnの添加により電子・正孔の寿命が増加することが分かった。TEM観察ではコアシェル構造を確認することができなかったが、Znの添加により発光特性が改善されることが分かった。

図・表・数式 / Figures, Tables and Equations
その他・特記事項(参考文献・謝辞等) / Remarks(References and Acknowledgements)


成果発表・成果利用 / Publication and Patents

論文・プロシーディング(DOIのあるもの) / DOI (Publication and Proceedings)
口頭発表、ポスター発表および、その他の論文 / Oral Presentations etc.
  1. 竹内 彰汰、葛谷 俊博、濱中 泰、松島 永佳,"Zn添加CuInS₂ナノ粒子の合成とその発光特性"日本金属学会2022年秋季講演大会(福岡), 令和4年9月20日
特許 / Patents

特許出願件数 / Number of Patent Applications:0件
特許登録件数 / Number of Registered Patents:0件

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